わずかな隙が生んだ敗戦でベルトを失った。6日行われた世界ボクシング機構(WBO)ミニマム級のタイトルマッチ。王者の谷口将隆(ワタナベ)は挑戦者のメルビン・ジェルサエム(フィリピン)の右ストレートを顔面に被弾し、2回1分4秒でTKO負け。2度目の防衛に失敗し「(挑戦者が)想像よりも上だった。自分の認識が甘かった」と唇をかみしめた。
1回の終盤、ボディーを当てて得た手応えが、思わぬ落とし穴となった。「いけるな、と思っちゃった自分がいて。ちょっと油断じゃないけど、隙ができた」
迎えた2回、不用意にガードを下げた際に右ストレートをまともに食らってダウン。2度立ち上がろうとしたが、足が言うことを聞かない。膝から崩れ落ち、レフェリーが抱きかかえて試合を止めた。「ああいう(パンチの)もらい方をするのは、自分はないだろうと思っていた」と悔やみきれない敗戦となった。
2021年12月、2度目の世界挑戦で王座を獲得。昨年4月の初防衛戦では挑戦者が前日計量で体重超過するアクシデントがありながら、リングに上がることを選んでTKO勝ちを収めた。そのベルトをプロ20戦目で初のKO負けにより手放すことになった。「ゆっくり記憶が戻ってきて、これから悔しくなるんだろうなと思ってる。それをかみしめてどうしていくか決めていきたい」と話した。(大石豊佳)