【ワシントン=坂本一之】訪米中の西村康稔経済産業相は5日、レモンド商務長官と会談し、日米の産業協力を半導体に加えバイオや量子、人工知能(AI)といった重要な先端技術全般に拡大することで合意した。西村氏が会談後、記者団に明らかにした。
日本の主要企業が出資し次世代半導体の国産化を目指す新会社「Rapidus(ラピダス)」と米IBMが次世代半導体の量産に向け協力強化で合意したことを受け、両氏は日米連携をさらに強化していくことで一致。ラピダスとIBMは共同開発に加え、市場開拓や人材育成でも協力する方針で、西村氏は「日米半導体協力の象徴的なプロジェクトで、力強く後押ししていきたい」と述べた。
米国が昨年10月に導入した半導体の対中輸出規制を巡っては、西村氏は「かなり突っ込んだやりとりを行った」と説明。ただ、具体的な措置については「各国の動向なども踏まえ、適切に対応していきたい」と述べるにとどめた。
日米の外務・経済担当閣僚による「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)を活用し、先進7カ国(G7)の議論を両国でリードする重要性についても確認。第2回会合を日本で早期に開くことでも一致した。
また、西村氏は同日、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)で講演した。中露など権威主義国の経済力が「大きな武器となっている」とし、「軍事費の拡大、核戦力の増強をはじめとした軍事力の質的・量的な強化は脅威を増大させている」と危機感を示した。