「ジャパネット杯 春の高校バレー」として行われるバレーボールの第75回全日本高校選手権で、昨夏の全国高校総体に続く制覇を狙う金蘭会(大阪)が準々決勝で共栄学園(東京)に2―1で逆転勝ちし、準決勝に進んだ。
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最後は金蘭会のエース上村杏菜(2年)が強烈なスパイクをたたき込み、熱戦となった準々決勝を終わらせた。昨年のU-20(20歳以下)アジア選手権MVPの上村が「よくやった!」と真っ先に声をかけたのは西村美波(1年)。先行を許す窮地からチームを救った立役者は「勝ててよかった。安心した」と笑顔がはじけた。
上村が相手ブロックに次々と捕まり、第1セットを20-25で失ったところで池条義則監督が動いた。負傷した182センチの井上未唯奈(みいな)(2年)に代わり、今大会はセンターでの起用が続いていた西村を第2セットからアタッカーに回した。
「うちはスロースターターといわれるが、その中でも一番ひどい状態。上村が絶不調だったので(西村に)『頑張ってくれ』と」
中学時代からしのぎを削る共栄学園の秋本美空(みく)(1年)への対抗心も力に変えた177センチは水を得た魚のように躍動。20-23と追い込まれた終盤、強打を重ねて25-23とひっくり返すと、最終セットは調子を取り戻した上村と2人でスパイクを次々と決め、金蘭会を2大会連続の4強に導いた。
前回は優勝した就実(岡山)に準決勝で苦杯をなめた。当時、系列中学で部員たちと試合中継を見つめていた西村にとっては「自分も悔しかったし、次は自分もここに立つと誓った」舞台でもある。「立てると思うとびっくりする」と無邪気に話す16歳は、4大会ぶりの決勝進出への切り札となりそうだ。(奥村信哉)