JR西日本の長谷川一明社長は28日、産経新聞のインタビューに応じ、深刻な赤字を抱える地方のローカル線をバス運行や、鉄道施設の保有と運行を切り分ける「上下分離方式」による経営方式に移行する議論を沿線自治体と進めるにあたり、自治体側からの要請に応じ、移行に必要な経費の試算や、望ましい運営方式などを提案する考えを明らかにした。
長谷川氏は、赤字ローカル線の今後のあり方をめぐり「自治体側がどのような構想を持っているかは分からない」としつつ、「議論を進めるために、必要であれば試算して提示していくのは当然のことだ」と発言した。
ただ一方で長谷川氏は、ローカル線のあり方をめぐる協議で、自治体側とはまだ「テーブルにも着けていない」と指摘。自治体は廃線の可能性や負担増をめぐる議論に後ろ向きとされ、ローカル線の利用増をめぐる協議は行われても、そのあり方を変更する議論は「まだ一件も始まっていない」と語った。
長谷川氏は「時間がたつほど(地方の交通手段を維持するための)有効な手が打てなくなる」と指摘し、議論を迅速に進めたい考えを強調した。(黒川信雄)