行動制限のない年末年始を迎える。新型コロナウイルスは感染拡大のスピードこそ鈍化しているものの、患者数の増加傾向は変わらない。23日には、1日当たりの死者数が過去最多となった。
インフルエンザの患者報告数が、岩手県や東京都などで流行入りの目安となる定点当たり1人を超えたことも気がかりである。
年末年始は、医療機関の休診や医療スタッフの縮小で医療提供態勢が薄くなる。万全の準備で正月を迎えたい。
まず、ワクチン接種だ。新型コロナのワクチンとインフルエンザのワクチンは、同時接種が可能である。重症化を防ぐ効果が期待され、早めの接種が望ましい。
長引くコロナ禍で感染に対する緊張感が緩んでいないか。人ごみの中でのマスクの装着や、手洗いなど、日常の感染対策も改めてチェックしたい。
発熱やのどの痛みなどで感染が疑われる場合、政府は重症化リスクの低い人には抗原定性検査キットで自己検査をして、陽性なら自宅療養をするよう求めている。発熱外来の逼迫(ひっぱく)を避けるためだ。
検査キットや解熱鎮痛剤は休暇に入る前に用意しておくことが重要だ。自宅療養に必要な生活必需品、スポーツ飲料やレトルト食品なども用意しておきたいが、過度の買い占めは混乱を助長するだけだ。適正な準備を心掛けたい。
発熱時などの相談先を確認しておくことも欠かせない。まず、かかりつけ医に相談する。かかりつけ医がいなかったり、休診で連絡が取れなかったりする人のため、都道府県には「受診・相談センター」が設置されている。
医療機関への受診を迷うときやインフルエンザが疑われて治療薬を希望するときなどに相談すると受診先を教えてくれる。帰省時や旅行中の相談先の電話番号も確認しておきたい。地震の際の避難先を確認しておくことと同様だ。
政府と都道府県は相談態勢を拡充して周知を徹底し、患者が受診先に迷わないようにしなければならない。薬局で検査キットや解熱鎮痛剤などが不足しないよう、万全を期してほしい。
政府や自治体は発熱外来や病床の稼働についても、改めて確認してもらいたい。これまでも年末年始やお盆休みなどに、確保病床が十分に機能しないことがあった。過ちを繰り返してはいけない。