大森一樹監督の特徴としてアイドル映画に腕を振るったことが挙げられる。吉川晃司を主役にした「民川裕司」3部作をはじめ、「恋する女たち」など斉藤由貴主演の3部作、あるいはSMAPの「シュート!」、山口智子の「大失恋。」といったスター候補生をバックアップしてきた。
「すかんぴんウォーク」(1984年)は赤木圭一郎の再来といわれた吉川のデビュー作。主題歌「モニカ」を歌い、歌手デビューも果たしている。エンディングの「真夜中のストレンジャー」は「モニカ」のカップリング曲だ。「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」との併映だった。
賛否ある作品だが、80年代アイドル映画の傑作との呼び声も高い。内容は広島出身の吉川そのままに、広島から上京して六本木の裏町で苦労しながら、スターの一歩を踏み出していくサクセスストーリー。
そもそも事務所が吉川を売り出すために企画したもの。社長がアイデアを出したが、最初は若手社員に冷笑されたという。それを押し切って青春映画として成功させたのだからすごい。