選手は直接話せないこともノートなら伝えられる。それぞれの揺らぐ思いが一字一字に表れた。主将のSH田中景翔(3年)は「本音でやり取りできて、雰囲気も変わってきた」とチームの変化を実感。多感な時期に困難にぶち当たったが、平池監督にメンタル面を支えられ、団結していった。22日に花園へ向けてのメンバーが発表され、憧れの舞台に立てずに涙を流す選手もいたが、河川敷のグラウンドで過ごした時間は色あせない。
「これからもここを〝原点〟にして、成長していってほしいし、そこに携われる幸せを感じている。(花園では)子供たちには本当に頑張ってほしい」
練習後には、伝統の部歌で締めくくる姿をほほえましく見守った。指揮官として初となる花園。10大会ぶりの日本一へ、選手の背中を押していく。(北池良輔)
■常翔学園(じょうしょうがくえん) 1933(昭和8)年に関西工業学校として開校。摂南学園高、大工大高を経て、学校法人の設立により2007年から現校名。中高併設の私立共学校。ラグビー部は1937年創部。部員数は96人。全国優勝は前身の大工大高を含め5度。主なOBは元日本代表・河瀬泰治、同・元木由記雄(京産大GM)、東京五輪7人制ラグビー日本代表・松井千士(リーグワン・横浜)ら。
■平池 三記(ひらいけ・みき) 1969(昭和44)年9月15日生まれ、53歳。香川県出身。坂出高-大教大。卒業後、民間企業に就職し、公立高校を経て、99年に大工大高(現・常翔学園高)に赴任。2001年からラグビー部の副部長を務め、今年9月に監督就任。数学科教諭。