我流~2022回顧⑦

もう健全育成を「盾」にするな 改正少年法施行

産経ニュース
大阪地裁で開かれた特定少年の公判では、改正少年法の新たな規定に基づいて実名が公表された
大阪地裁で開かれた特定少年の公判では、改正少年法の新たな規定に基づいて実名が公表された

「断ったらダサいと思われる」。肝試しに誘われたかのような軽薄な動機を、当時19歳の男が法廷で口にした。10月に大阪地裁で開かれた裁判員裁判。問われたのは、20歳の男性を刃物で刺して死亡させた上、現金13万円を奪ったとする強盗致死罪だった。若気の至りで済まされるはずがないあまりに重い罪だ。

男は4月施行の改正少年法で「特定少年」に位置付けられるため、起訴された際に実名が公表された。最高検は氏名公表の検討対象を「犯罪が重大で地域社会に与える影響も深刻な事案」としているが、まさに合致する。本紙では、起訴から公判にかけて男の実名を報じた。

一方、弁護側は公判前、「社会復帰を阻害する」として報道各社に匿名報道を求めただけでなく、裁判所にも匿名審理を要請した。公判でも母親の暴力を受けて育ったとする成育歴を強調。刑務所ではなく、少年院で育ち直しをさせるべきだと訴えた。健全育成を主眼とする少年法の理念に沿った対応なのだろう。

確かに恵まれた家庭環境とはいえない。だが、今や18歳になれば選挙権が与えられ、親の同意なくローンも組める。事件を起こしたときだけは「子供扱い」というのは許されるのだろうか。

さまざまな成人の権利はあるが、法を犯しても少年法によって守られる-。そんな行き過ぎた保護主義が広まれば、甘えを助長するだけで、それこそ健全育成に資するとは思えない。特に重罪のケースでは例外扱いになるのは当然だ。少年法をどこまでも「盾」にしようとする弁護側の姿勢に強い違和感を覚えた。

結局、大阪地裁は刑事罰を選択。男は、実名が明かされた上で刑務所に入るという「大人扱い」を受けた。権利には責任が伴う。当然の結果が示された。

ただ、一定の厳罰化が図られても次なる問題が待ち受ける。刑務所内でいかに自身の罪と向き合わせ、再犯防止につなげるかだ。

今年はもう一つ、刑事司法を巡る大きな動きがあった。6月、懲役刑と禁錮刑を廃止し「拘禁刑」に一本化する改正刑法などが国会で可決、成立した。3年以内に施行される。

改正の目的は、刑罰を単なる「懲らしめ」ではなく、更生の場にもすること。労役に加えて更生教育が義務付けられ、受刑者の特性に合わせて労役と教育の組み合わせを自由に設定できるようになる。

これまでも、認知行動療法に基づくプログラムなどが導入されてきたが、十分な時間が確保できないといった課題があった。こうしたプログラムを充実させるのはもちろん、法改正を契機に、最新の科学的知見を踏まえた対策も積極的に取り入れるべきだ。例えば性犯罪者に対し、薬を使って性的欲求を下げる薬物療法(化学的去勢)の導入もタブー視してはならない。既に薬物療法を取り入れている海外に比べ、日本は後れをとっている。

罪を償う場である刑務所を治療の場とすることに反対の声もあろう。しかし、応報と更生を両立させることは、再犯防止を願う犯罪被害者の思いに応えることにもなるはずだ。少年法を含む2つの法改正の実効性をしっかりと見極めていかなければならない。

(社会部 野々山暢)

改正少年法 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法の改正に伴い、改正少年法が4月、同時施行された。罪を犯した18~19歳を「特定少年」とし、これまで少年法61条によって禁じられてきた実名報道が起訴後に可能になった。原則として検察官送致(逆送)する対象も特定少年のケースで拡大し、成人と同じ刑事裁判にかける枠を広げた。一方、少年法適用年齢を改正民法と合わせる形にはならず、20歳未満による全ての事件がまず家庭裁判所に送られる仕組みは維持された。

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