硫黄島を「教育の島」に 青山繁晴氏、千葉「正論」懇話会で講演

産経ニュース
千葉「正論」懇話会の講演会で熱弁を振るう青山繁晴参院議員=14日、千葉市中央区(高橋寛次撮影)
千葉「正論」懇話会の講演会で熱弁を振るう青山繁晴参院議員=14日、千葉市中央区(高橋寛次撮影)

14日に千葉市中央区の京成ホテルミラマーレで開催された千葉「正論」懇話会(会長・木村理千葉銀行顧問)の第77回講演会。参院議員で作家の青山繁晴氏が、「魂からの国造りを再び」と題し、熱弁を振るった。壇上から降り、感染症対策に留意しつつも参加者に直に問いかける独特のスタイルで戦後77年の日本の問題点を鋭く指摘し、参加者は熱心に耳を傾けていた。

青山氏はまず、海外での事例として、メキシコの小学校で月曜朝に行われる週間当番の交代式について言及。「子供たちが軍服そっくりの服を着て国旗を持って、国歌を歌いながら校内を練り歩く」と紹介した。現地でメキシコ人の教師に理由を尋ねると、「国を愛することは人間の〝土台〟で、教育とはその土台をつくることだ」と言われたという。青山氏は、「国のために命まで捧げてくれた先人に感謝するのは人間の基本。私たちの国造りに、戦後一貫して欠けているのは魂ではないですか」と問いかけた。

日本の教育を変える具体策として、先の大戦で本土防衛の最前線となり、約2万1千人が玉砕した硫黄島(東京都)を「教育の島」にすることを提案。普段は立ち入り禁止地域であることを維持して戦跡を守りつつ、訪れた子供たちにさまざまなことを感じてもらうというアイデアを披露した。「玉砕まで36日間持ちこたえたことが本土への自在な爆撃を遅らせ、多くの人の命を救った。そうでなければ今、生まれていなかった人もたくさんいるだろう」と指摘。同じく原型をとどめ、子供たちに訪れてほしい戦跡として、沖縄県の白梅之塔も紹介した。

元は非常勤講師を務めた東大では有志のゼミで、近畿大では経済学部の客員教授として、議員の今も講義を行っている青山氏。「学生には『日本は国家とは言えない』と話している」という。その理由として、「国防は国にとって最も重要な任務だが、戦争に一度負けただけで、それを米国に任せた。北朝鮮に日本から拉致された被害者がいると分かっていて取り返しに行かない。私たちは同胞を置き去りにして暮らしている」と訴えた。

平成14年の小泉純一郎首相の訪朝で北朝鮮が初めて拉致を認めた際、金正日総書記(いずれも当時)は「国家機関が拉致した」と説明したことを指摘。青山氏は、憲法9条の「国の交戦権は、これを認めない」という最終行を示し、「北朝鮮は、日本国憲法の神髄を知っていた。相手が国だったら何をされても決して戦うな、何もできないということだから、あえて国の機関が拉致をやったと強調した」と話した。

憲法が改正されずにきたことについては「国会議員と主権者の共同責任だ」と指摘した。政府による非公開の世論調査では憲法9条を改正しようと国会が発議して国民投票になっても、否決される可能性が高いという結果が出ており、それが発議に向けた動きを鈍らせているという。その上で「国会議員の責任がより重い」と指摘した。

持論である海洋資源の活用についても分かりやすく述べた。ロボット技術の発達で、レアアース(希土類)や、「燃える氷」と言われるメタンハイドレートなど深海に眠る天然資源にアクセスできるようになったことを説明。大量の資源を高い価格で輸入していることが日本経済の足かせとなり、賃金が上がらない一因になっていると指摘。「新陳代謝がなく、ハツカネズミのように同じ所でぐるぐる回っているから日本は沈んでいく」として、海洋の自前資源を有効活用し資源を持つ国になることで閉塞を打破していこうと訴えた。

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