東京・国立劇場の初春歌舞伎といえば、今や恒例となっている尾上菊五郎(80)を〝座頭(ざがしら)〟としたおなじみのメンバーによる上演で、今回の演目は通し狂言「遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-」(来年1月3~27日)。金さんこと遠山金四郎を勤める菊五郎と悪党役の尾上松緑(47)、尾上菊之助(45)が今月中旬、都内で取材会を開いた。
遠山金四郎は江戸時代に実在した町奉行で、時代劇では片肌を脱ぎ桜吹雪の入れ墨をあらわに裁きを行う名場面で知られる。
監修も担う菊五郎は、松緑と菊之助を見やりながら「芝居場はこの人たちにおもしろくしてもらい、私は裁き役の金さんをすっきりとやっていきたい」と悪役の演技に期待を寄せた。
松緑は、自身が演じる生田角太夫について「善玉である金さんとの対比が出てくると思うので、できるだけはっきりと悪役とわかるように役作りをしていきたい」と意気込んだ。
菊五郎の孫、寺嶋眞秀(10)が出演するほか、菊之助の長男、丑之助(9)、坂東彦三郎(46)の長男、亀三郎(9)、中村梅枝(35)の長男、小川大晴(7)が親子で共演する。
国立劇場が全面建て替えのため来年10月に閉場することから、菊之助は「(初代)国立劇場での初春歌舞伎は今回が最後なので、みんなで盛り上げ、次の国立劇場に向かって新しい若い力と父たちの力を合わせて一座が一丸となってお芝居を作っていければと思う」と抱負を述べた。
問い合わせは国立劇場チケットセンター(0570・07・9900)。
(水沼啓子)