政府の令和5年度予算案には、開幕まで2年半を切った2025年大阪・関西万博の関連予算も盛り込まれた。来場者に「循環型社会」を体験してもらうパビリオン「日本政府館(日本館)」の建設費や、万博での実用化を目指す「空飛ぶクルマ」のシステム開発費などで、本番に向けた準備が本格化する。
日本館について、政府は「万博のテーマ『いのち輝く未来社会のデザイン』をホスト国政府としてプレゼンテーションする拠点」と位置付ける。パビリオンでの体験を通じ、ものを大切にして最後まで使い切る日本文化への関心を高めてもらい、持続可能な社会を目指すための行動変容を促す。建物には強度に優れる新建材CLT(直交集成板)を活用。万博後の再利用も想定する。予算案には建設費など24億円を計上した。
空飛ぶクルマやドローンの社会実装に向けた関連費には31億円が盛り込まれた。機体の心臓部「電動推進装置」の安全性を評価する手法の開発や、低高度を飛ぶ航空機を管制するシステム整備などにあてる。
りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「空飛ぶクルマは万博後も潜在力が高い領域で、産業支援を視野に入れた予算といえる。民間でも離着陸場整備の動きがあり、市場拡大につながる」と評価する。
予算案について、関西経済連合会の松本正義会長は「万博開催に向けたソフト事業の推進や参加国招聘(しょうへい)に必要なイベントの開催、途上国への支援に対する予算が措置された。地元関西としてしっかりと準備を進めていく」とコメントした。(井上浩平)