令和5年度予算案について経済界は、岸田文雄政権が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた道筋が示され、物価高対策など当面の課題にも対応していると評価した上で、実効性のある執行を求めた。防衛費増額には賛意を示しつつ「国民の理解を得られるよう説明を尽くす必要がある」(経済同友会の桜田謙悟代表幹事)との声も上がった。
経団連の十倉雅和会長は「GX(グリーントランスフォーメーション)やデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資など中長期的な課題に対応する施策が盛り込まれ、安全保障の増強も示されており、高く評価したい」と歓迎。「『成長と分配の好循環』に向け、賃金引き上げと国内投資の活性化に全力を挙げる」と約束し、官民一体となって日本経済の浮上に注力する考えを強調した。
日本商工会議所の小林健会頭は「原子力の活用を明確に位置づけ、核融合を含む研究開発の推進を盛り込んだ」とエネルギー政策の取り組みを評価する。一方で、「財政支出全般で徹底したワイズスペンディング(賢い支出)の実践を求めたい」と注文を付けた。
桜田氏は「社会保障関係で子育て支援費の安定財源確保や勤労世代の負担適正化は踏み込み不足で、抜本的な制度改革を進めるべきだ」と指摘。新型コロナウイルス対応などによる政府予算の膨張や大型の補正予算の常態化を踏まえて「補正予算の規律強化を含め『危機対応財政』からの正常化を求めたい」とした。