小林繁伝

頼もしき36歳の奮闘「新記録も勝たなきゃ…」 虎番疾風録其の四(131)

産経ニュース
阪急との日本シリーズ第2戦、八回に右中間へ適時二塁打を放つ巨人の王=昭和51年10月25日、後楽園球場
阪急との日本シリーズ第2戦、八回に右中間へ適時二塁打を放つ巨人の王=昭和51年10月25日、後楽園球場

第2戦は阪急がベテランの足立。巨人はライトが先発した。足立は四回に張本の右犠飛で1点を失ったものの6奪三振と巨人打線を翻弄。一方、巨人は5失策でライトの足を引っ張った。


◇第2戦 10月25日 後楽園球場

阪急 020 020 010=5

巨人 000 100 210=4

(勝)足立1勝 〔敗〕ライト1敗 (S)山口1勝1S

(本)王②(足立)


1―4と阪急リードで迎えた七回、先頭の王が足立から右翼ポール直撃のシリーズ通算26号本塁打を放った。表情を変えずにベースを1周。新記録を喜べる状況ではなかった。

続く代打・柳田が右中間二塁打。ジョンソンが倒れ1死二塁となったところで山口がマウンドに上がった。代わりばな、代打の原田が中前タイムリーを放つも、続く河埜が速球に詰まって一邪飛。ここで王は打席に向かおうとした代打・淡口を呼び止めた。

「いいか、第1戦ではあっさりと高めの球に手を出していたぞ。同じ過ちを繰り返すな。高めは捨てろ」

ポーンとお尻を叩いて送り出した。だが、結果は見事に高めにつられて三邪飛。なぜ、ダメだとわかっている高めの球に巨人打線は手を出すのだろう。ネット裏でサンケイスポーツの『観戦記』の執筆を務めた南海・野村克也監督はこう分析した。

「もし山口が背の高い投手で、上から投げおろす感じなら、ああ簡単には引っかからない。ところが彼は172センチ。投手としては低い方だ。同じレベルから投げ、打者の近くで浮き上がる。だから引っかかってしまう。それに山口の投球モーションは小さい。普通の投手のように1・2・3のタイミングではあの速球は打てん。2を抜かんとな」

八回1死から高田、張本が連続四球で一、二塁。王は1―0後の2球目、低めの速球を右中間へ二塁打。1点を返した。だが、反撃もここまで。続く柳田が3球三振。ジョンソンも中飛に打ち取られ2連敗。

「新記録? 勝たなければ何もならないよ」と王は吐き捨てた。一方、阪急ベンチではシリーズ通算6勝目を挙げた足立が上機嫌で胸を叩いた。

「みんなが頑張っているので、もうオレの出番はないかもしれんな。けど、もし回ってきたら、任せとき!」

王(5月20日)、足立(3月10日)と同じ昭和15年生まれの当時36歳。頼もしきかな―。(敬称略)

■小林繁伝132

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