福井大「子どものこころの発達研究センター」の友田明美教授が自らの論文の「査読」に関わったとされる問題で、福井大の調査委員会は20日、友田教授ら3人の論文計6本で「不適切な行為」があったと認定する調査結果報告書を発表した。これまでに撤回された論文2本を除く4本について友田教授に取り下げを勧告、福井大は教授らへの処分を検討する。
報告書によると、友田教授は、学術誌に投稿した論文の査読者3人からメールで依頼を受け、教員ら2人に指示して査読コメント案を作成させた。査読者は返信されたコメント案を利用して学術誌出版社に提出、論文が学術誌に掲載された。
友田教授はコメント案の提供について「(査読者が)自分より経験がある著名な研究者で、査読に関わる労力を減らすべきと判断した」という趣旨の説明をしている。調査委は「研究データの改竄(かいざん)などが行われたわけではなく、研究成果をゆがめるものではなかった」とした。
福井大は再発防止策として、教職員に査読に関する資料を配布するなど研究倫理教育を徹底する。