男女交際を禁じた校則に違反したとして自主退学を勧告された元生徒の女性が高校側に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁が11月、「退学を事実上強制した」として学校側に賠償を命じる一方、校則自体は「適法で有効」とする判決を言い渡した。学校側が広い裁量を持つ校則の違法性が司法の場で認定されるハードルは高いが、不合理な校則を「ブラック校則」として疑問視する風潮は強まっており、現場では見直しの動きもある。
卒業目前で…
訴訟を起こしたのは、私立堀越高校(東京都中野区)に通っていた女性。1年生の終わり頃から同級生の男子生徒と交際を始めた。親しい友人には「彼氏がいる」と打ち明けていたが、学内では目立たないように振る舞い、3年生になっても交際を続けていた。
だが、仲の良かった同級生が学外の男性との交際を理由に自主退学に追い込まれたのを機に、女性自身の交際も発覚。学校側は「校長の判断」として自主退学を勧告してきた。
現役での大学進学を目指していた女性は、志望大学への指定校推薦も決まっていたが「勧告に従わなければ謹慎処分になり、謹慎期間中は大学受験もできない」と学校側から説明され、やむなく自主退学し、他の高校に編入することを選んだ。女性側はその後、校則は生徒の人権を制約する度合いが極めて高く、違法だなどとして提訴した。
今年11月30日の地裁判決は、女性の普段の生活態度が良好だったのを考慮せずに自主退学を勧告したのは違法とし、学校側に慰謝料など約97万円の支払いを命じた。その上で、校則自体は「生徒を学業に専念させるためのもので社会通念に照らして合理的」とし、違法性は認めなかった。女性側、学校側とも控訴せず判決は確定した。