ロシアは20日、国家勲章の授章式を開き、9月に一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州の親露派勢力トップ4人にプーチン露大統領が勲章を授与した。4州では奪還を目指すウクライナ軍との戦闘が続く中、ロシアは勲章授与で親露派の忠誠心を高めるとともに、4州のロシアへの「帰属変更」を既成事実化する思惑だとみられる。
勲章を授与されたのは、東部ドネツク州のプシリン「首長代行」▽同ルガンスク州のパセチニク「首長代行」▽南部ヘルソン州のサリド「知事代行」▽同ザポロジエ州のバリツキー「知事代行」-ら。ウクライナ侵略で戦果を上げたとする軍人らにも授与された。
プーチン氏は授章式で「ロシアは歴史的に何度も試練に直面してきたが、現在も挑戦を受けている」と侵略を正当化した上で、「前線にいる兵士や将校らは勇気と自己犠牲の模範を示している」と主張した。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は20日のビデオ声明で、最激戦地であるドネツク州の要衝バフムトを訪問して兵士らに国家勲章を授けたと表明。「ロシアの攻撃の後に残るのは何か。焼け野原と生活の破壊だ。ウクライナ兵はそれを止めるために戦っている」と強調し、国際社会に支援の継続を求めた。
バフムトは同州の中心都市クラマトルスクへの進出ルート上にあり、同州全域の制圧を目指す露軍と、防衛するウクライナ軍の間で過去数カ月間にわたり激戦が続いている。