大阪府・市がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)を誘致する人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市)の候補地を巡り、依頼を受けた不動産鑑定業者が算定した賃料が4社中3社で一致し、市議会で問題視する指摘があることが分かった。松井一郎市長は15日、鑑定業者側への働きかけを否定。恣意(しい)的な誘導などがあった場合は、来年4月の任期満了までの報酬を返上するとした。
府市で組織する大阪港湾局によると、IR事業者に貸す土地(約50ヘクタール)の賃料を決めるため、令和元年8月に鑑定業者4社に評価を依頼。4社は国内大型商業施設の土地取引価格を参考に算定し、3社が1平方メートルあたりの月額賃料が428円と一致した。市は同11月、他の鑑定士らでつくる市不動産評価審議会の答申を受け、年間賃料を約25億円とした。
鑑定評価の際は、IRを考慮しないよう条件を設定。市議会では、大型商業施設の取引価格が参考にされた結果、賃料が安くなったとして「市が事業者を優遇しているのでは」と疑問視する声が出ていた。
大阪港湾局の担当者は15日、IRを考慮しない条件にした理由について記者団に「鑑定業者のうち1社から『IR事業は国内での実績もなく、考慮することは適切でない』との意見があり、残る3社も同様の意見だった」と説明。問題はないとの認識を示した。