中国で異変が起きている。10月の共産党大会で「異例の3期目」に突入した習近平総書記(国家主席)に対し、退陣を求めるデモが北京や上海で起きたのだ。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、国民に厳しい行動制限を強いる「ゼロコロナ」政策への不満が爆発したとされ、自由を求める抗議活動は全国各地に広がり、動画が世界に拡散している。デモの背景に、経済不振や独裁体制を強める習氏への怒りがあると指摘する識者もいる。1989年の「天安門事件」の再現となるのか。体制批判のデモがさらに拡大する事態となれば、国民の不満をそらすため、習政権が「台湾統一」の動きを加速する危険性もありそうだ。
「習近平、退陣せよ!」「皇帝よ退陣せよ!」
上海で26日深夜から27日未明にかけて行われたデモで、数百人の参加者は、習氏に対する怒りの声を上げた。
抗議活動は当初、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で24日に発生した火災の犠牲者10人を追悼するものだった。感染対策で封鎖措置が取られていたため消火活動が遅れたとみられ、同市内でその後、大規模な抗議活動が起きたと伝えられている。
上海での犠牲者追悼デモが、徐々に習指導部のゼロコロナ政策への不満を訴える場に転じた。「共産党は引っ込め」「独裁は要らない、民主が必要だ」などと、政府批判を叫ぶ人々が出てきた。