家族がいてもいなくても

760 寂しさはいつも人生の傍らに

産経ニュース
イラスト・ヨツモトユキ
イラスト・ヨツモトユキ

華やかに彩られていた紅葉の季節が過ぎ、秋の深まりとともにあたりが枯れ葉色に染まっていく。

そんな季節のうつろいを毎朝、庭に出て眺めている。

先日は、ついに那須連山のひとつ、茶臼岳にうっすらと雪が積もった。

冷たい朝の凜(りん)とした空気の中で山を仰ぎ、もうじき訪れる冬を思った。

そんなめぐりゆく季節を、私は繰り返し送っているわけだけれど、ふと思う。

あと、幾たび、自分はこれを繰り返していくのかなあ、なんて。なんだかむなしいような気分になって、思わず、「はあ~っ」とため息がこぼれ出た。

実は、気が付くと、よく、胸のうちに溜(た)まったなにかを吐き出すように、ため息をついている。今や、クセになったかのように、年中、「はあ~っ」と。

もしかして私、寂しいのかな…とも思ったが、そんなはずはない。

今は、コミュニティーの中で、たくさんの人と暮らしているわけで、寂しい、というよりは、にぎやか。

日々、誰かと、おはよう、とか、こんにちは、とか、元気してる?とか、声を掛け合って暮らしている。

そうは言っても、人は、老いてくるにつれ、言いようもない「寂しさ」や「むなしさ」を覚えて、吐息をつきたくなるものなのかも。

いつだったか、道で、いきなり、「なんかすごく寂しい、誰かに抱きしめてほしいの」なんて言われたこともあった。

私でいいのかな、どうかなあ、と思いつつハグしたら、「ありがとう」と言われ、しんみりしたことも。

そんなことを思いつつ、夕暮れ時に、食堂に向かうメインストリートの坂道をとぼとぼ歩いていたら、不意に宮沢賢治の詩の一節が口からこぼれ出た。

「なんべんさびしくないと云つたとこで またさびしくなるのはきまつてゐる」と。

思えば、遠い昔、この一節を呪文のように唱えながら暮らしていた時期もあった。

そう、ため息も寂しさも私の人生の傍らにいつもあったものだったな、と。

(ノンフィクション作家 久田恵)

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