人間・森保一

㊤揺るぎない精神力 不遇時代が成長のバネに

産経ニュース
国際親善試合の日本代表対カナダ代表に臨む森保一監督=ドバイ・アルマクトゥームスタジアム(蔵賢斗撮影)
国際親善試合の日本代表対カナダ代表に臨む森保一監督=ドバイ・アルマクトゥームスタジアム(蔵賢斗撮影)

サッカー日本代表監督の森保一は、笑みを絶やさない。苦戦を強いられたワールドカップ(W杯)アジア最終予選で解任論が噴出したときも「重圧はあってもストレスはありません」とにこやかだった。現役時代、ともに日の丸を背負って戦った高木琢也は「代表監督は全国民を敵に回すようなもの。並大抵の精神力ではない」と舌をまく。

揺るがぬ気持ちには、選手時代の下積み経験が大きく関わっている。

長崎日大高時代は目立つ選手ではなかった。闘う姿勢は人一倍で、仲間がラフプレーを受けると激しく体を寄せてやり返した。高校2年の夏には、骨折した左腕のギプスを溶かして大会に強行出場したこともある。恩師の下田規貴(きよし)は「仲間思いで熱血漢。ファイターだった」と振り返る。

下田は縁をたどり日本サッカーリーグのマツダ(現広島)で総監督だった今西和男につないだ。「うまくない、速くない、強くない。ただ、視野は広かった」とは今西の述懐。土のグラウンドでボールが不規則に弾んでも、足元を見てすぐに視線をピッチに戻した。「ひょっとしたらモノになるかもしれない」と感じた今西は将来性にかけ、6番目の選手として採用した。

思わぬ事態が起きた。入社を前に採用枠が6から5に減らされた。今西の必死の説得で子会社のマツダ運輸に引き取ってもらった。同期とは給与体系も待遇も異なった。めげなかった。社業をこなし、限られた練習時間では、指導者の顔をじっと見つめ、一つの指示も聞き漏らさなかった。大卒選手がばかにして取り組まなかった基礎練習にも、「喜んでやります」と熱心に向き合った。

1992年、監督のハンス・オフトに見いだされて日本代表の一員になった。姿勢は変わらなかった。代表コーチだった清雲栄純は、選手の特徴や癖を熱心に観察する森保を覚えている。「疑問があれば、オフトや中心選手だった井原(正巳)、柱谷(哲二)に躊躇(ちゅうちょ)なく話しかけていた」。ピッチ内外での役割をすぐに理解し、瞬く間に中盤の主軸へと成長していった。

一つでも歯車が狂えばプロとしての歩みは途絶えていたかもしれない。サッカーと携わる日々を「幸せ」と表現する姿勢は、不遇の時代と無関係ではないだろう。強い覚悟も胸に秘めている。「代表監督に就任してから、毎試合毎試合、試合後には監督としての道が続くのか、終わるのかという岐路に立っていると思っている」=敬称略

(川峯千尋)

W杯カタール大会は20日に開幕する。日本代表の森保監督は、新チーム発足からW杯出場権獲得まで全試合を指揮した初の日本人監督として本大会に挑む。関係者の証言をもとに、過去最高の8強を目指す指揮官の素顔をひもとく。

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