関西の初

いだてんが「たすき」つないで150年 駅伝発祥の地は京都・三条大橋

産経ニュース
三条大橋のたもとにたたずむ「東海道駅伝徒歩競争」の記念碑について説明する岡尾恵市・立命館大名誉教授=京都市東山区
三条大橋のたもとにたたずむ「東海道駅伝徒歩競争」の記念碑について説明する岡尾恵市・立命館大名誉教授=京都市東山区

仲間の汗が染み込んだ1本のたすきをつないで走り抜く駅伝。日本発祥の競技の一つとして知られ、毎年1月に開催される「東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)」は、正月の風物詩にもなっている。「たすきに込めた各チームの思いに、選手だけでなく観客も共感できる」と日本で広く人気を集めているが、その歴史が京都・三条大橋から始まったことはあまり知られていない。この地で駅伝の歴史をひもとくと、100年以上前の人々の熱気と息づかいが感じられるようだ。

由来は「駅制」

《駅伝の歴史ここに始まる》。京都市中心部を流れる鴨川にかかる三条大橋のたもとに、こう記された石碑がたたずむ。

105年前の大正6(1917)年、4月27~29日に京都~東京を結ぶ「東海道駅伝徒歩競走」のスタート地点だったことを示すものだ。「京都は駅伝競技発展のきっかけとなった出発点。今日の駅伝にも大きな影響をもたらしたんです」。自らも元選手で、駅伝の歴史に詳しい立命館大の岡尾恵市名誉教授(84)が説明する。

江戸時代に整備された五街道の一つ、「東海道五十三次」を実際に人が走ったらどうか-。6年、京都から東京への遷都50年を記念して上野で開催された「東京奠都(てんと)五十年奉祝博覧会」に絡むイベントとして、読売新聞が提案したのがきっかけとなった。

「駅伝」の名称は、奈良時代に馬を使って都と地方の政治や経済をつなぐために整備された「駅制」が由来。約16キロごとに設けられた駅家(えきか)で役人が乗り継ぐ馬を示す「駅馬(えきば)」や「伝馬(てんま)」から命名されたという。

上野まで516キロ

レースは27日午後2時に三条大橋を出発し、上野までの計23区間(516キロ)をたすきでつないで3日間で完走するというもの。岡尾さんによると、夜通し行われた過酷なレースで、三島-箱根間では標高800メートルの山登りの難所や、コース上に橋がなかった木曽川や天竜川など4河川では選手が渡し船に乗る光景も見られた。「競技用の靴もなく、選手らは足袋で走り、夜はたいまつで沿道を照らしていた」と話す。

参加は関東と関西の2チーム。関東は早稲田大など、関西は愛知県第一中(現在の愛知県立旭丘高)の学生らが中心だったが、「日本マラソンの父」と呼ばれる金栗四三(かなくりしそう)(1891~1983年)ら当時日本を代表する競技者も参加した。今や駅伝ではおなじみのユニホームやたすきも、このときに初めて登場。関東が紫、関西が赤で統一されたという。

勝利を収めたのは関東チーム。41時間44分の記録で最終走者の金栗が29日午前11時34分、上野のゴールに飛び込んだ。その約1時間半後に関西チームが到着した。大会は多くの人の注目を集め、ゴール付近では、沿道の人々をかき分けながら走るほどだったという。

人気は全国へ

その後、全国各地で大会が開催されるなど、駅伝は注目を集め、大正9年には箱根駅伝が初めて開催された。来年99回目を迎える大会は、テレビ視聴率も高く絶大な人気を誇る。

「選手らがたすきとともに気持ちをつなげていく光景が、日本人の心に合っているのではないか」。日本での駅伝人気について分析するのは、スポーツジャーナリストで大阪芸術大教授の増田明美さん(58)だ。

「三条大橋という印象的な地で駅伝の歴史が始まったことに意義がある」と語る増田明美さん(木脇事務所提供)

個人で走るマラソンと違って、駅伝はチームワークや気持ちで予想外の好結果になることも多いとされる競技。「京都のみやびな歴史や人々の持つイメージが、たすきをつなぐことを美徳とする競技と相まって、まさに始まりにふさわしい舞台」。増田さんは、京都から始まった駅伝の歴史が持つ意義を強調した。

仲間がいるから走れる

「スタートから受け継いだたすきを100キロ以上、人の力だけでつなぐことにロマンを感じる」。青山学院大時代の平成27~29年、いずれも箱根駅伝のエース区間「花の2区」を走り、3連覇に貢献した一色恭志(いっしきただし)選手(28)=GMOインターネットグループ=は、駅伝の魅力を語る。

一色恭志選手(GMOインターネットグループ提供)

一方で一秒の遅れが後に走る選手に積み重なっていくとの重圧もあるが、「仲間が中継地点で待っていてくれるからこそ走れる」と実感してきたという。

駅伝大会の中でも箱根駅伝は、大学時代のほぼ全てをささげたと言っていいほどの特別な存在だ。「思わず浮足立ってしまうほど応援がすごい。箱根は自分の競技観にも大きく影響しているし、経験は自分の財産です」と振り返る。

京都府与謝野町出身。箱根駅伝のルーツは、自らと同じ京都にあり、「不思議な縁を感じる」と感慨深げに話した。(太田優)

今、あなたにオススメ

izaスペシャル

  1. 「週刊文春」グラビアで團十郎より目立った片岡仁左衛門の〝お盛ん報道〟 40代女性との不倫疑惑、「噛みつく」性癖も明らかに

  2. 岸田首相の長男更迭「あきれるほかない」「登用がそもそも問題」 責任問う声上がる

  3. 【安保法案特別委採決】辻元氏、涙声で「お願いだからやめて!」と絶叫 民主、プラカード掲げ抵抗

  4. 【芸能ニュース舞台裏】「性行為強要された」と女優4人が告白 出演者じゃなくて監督の不祥事で映画公開中止「こんな形で知られるなんて…」関係者

  5. 【花田紀凱の週刊誌ウォッチング】(926) 猿之助さん一家「心中」事件の謎、『文春』『新潮』が肉迫

今、あなたにオススメ