新型コロナウイルスの感染拡大で停滞した外交が再開し、大規模な首脳会議が対面式で行われるのは実に3年ぶりだ。ロシアのウクライナ侵攻をはじめ山積する重要課題を各国首脳が議論する。
岸田首相はカンボジアに到着後、ラオス、ベトナム、カンボジア、ブルネイとの首脳会談を相次いで行う予定だったが、葉梨氏の人事で出発は8時間遅れ、首脳会談のいくつかを中止せざるを得なかった。
岸田首相が更迭を決断したのは11日、葉梨氏が過去に同僚議員のパーティーでも「死刑ハンコ」発言をしていたことが発覚してからだ。山際氏のときと同様、本人の辞意表明前に一報が報じられた。首相外遊に同行するため羽田空港に集合していた記者団も急いで永田町に戻ることになった。
後任の法相に任命された斉藤健元農水相は旧通産官僚出身で、政界入り後に農水族となった。自民党の石破茂元幹事長のグループに所属していたが、現在は無派閥だ。
岸田首相は、麻生派の山際氏の後任に、岸田派の後藤茂之元厚労相を充てた。一方で、岸田派の葉梨氏の後任は、別の派閥から抜擢(ばってき)したくなかったようだ。
第2次補正予算などの重要案件がめじろ押しで岸田首相は外遊後も、息をつく暇がない。国会の会期延長論がささやかれているが、政権は局面を打開できるのか。
(政治ジャーナリスト)