そこで羊肉の愛好者を集めて羊肉のイベントを月1のペースで開催するようになった。それが羊フェスタに育っていった。羊齧協会のメンバーは現在2000人となり、全国に4つの支部を置いている。菊池氏はこう語る。
「協会の活動を始めた当初は『なぜそんな変なことをやっているの?』と言われたものだが、活動を重ねていくにつれて『羊肉のおいしい店はどこか?』と聞かれるようになった。羊肉の飲食店もマニアックで個人経営ばかりだったが、いまやサイゼリヤが羊肉をグランドメニューに入れている時代。羊肉の売り方や楽しみ方が、どんどん多様化してきている」
羊フェスタでは前回から来場者にゴミの持ち帰りをお願いし、イベント終了後はゴミがほとんど出なかった。このお願いは今回も行った。事前アンケートを取ったところ2800の回答があり、そのうち65%が20代と30代の若者であった。羊肉はかつて40代以上の食通が好むものだったが、その支持者が変化している。そして出展者には海外の羊肉団体や、日本で羊肉を通じて町おこしを推進している自治体の参加が増えている。菊池氏は今回「羊肉で何か一緒にやりましょう」という具合にさまざまな自治体からの訪問を受けた。
羊肉はいまやエシカル(倫理的)で、人々を引き付ける存在になっているといっても言い過ぎではないだろう。 (千葉哲幸)