女優の川口春奈が主演し、Snow Manの目黒蓮と共演する連続ドラマ「silent」(フジテレビ系)の第6話が10日、放送され、ろう者が抱える葛藤や切ない恋心を手話と顔の表情で演じた女優、夏帆の演技力にネットで称賛の声があがった。
ヒロインの青羽紬(川口)が、本気で愛していた高校時代の恋人、佐倉想(目黒)と8年の月日を経て偶然再会し、そこに待ち受けていた現実と向き合い、乗り越えようとする姿を描く「silent」。2人は中学からの友人、戸川湊斗(鈴鹿央士)の紹介で付き合うようになったが、高校卒業後に若年発症型両側性感音難聴を発症した想は、やがて紬と会話ができなくなる現実を受け入れることができず、大学進学後に病気のことを隠したまま一方的に別れを告げた。その後、紬は同窓会で再会した湊斗と恋人関係になったが、将来のことを真剣に考えていた矢先、想と8年ぶりに偶然再会。紬は想と会話するために手話を習い始め、頻繁に会うようになった。そんな2人に湊斗は心のどこかに不安を感じるようになり、第5話(3日放送)で紬と湊斗は互いに好きという気持ちがありながらも、一緒にいることに苦しさを感じて別れることを選択。想もあらためて自分の紬への気持ちを再認識するようになっていた。
夏帆が演じるのは、ろう者の桃野奈々。大学時代に聴力を失い人との交流を避けるようになっていた想の唯一の相談相手で、この日は、想と奈々の出会いや、奈々が抱く想への思いなどが描かれた。
2人の出会いはろう者向けの就活セミナー。奈々は会場に向かうエレベーターの中で想に話しかけ、セミナー後に目が合うと「話したいって顔してた」と筆談で声をかけた。奈々と会話するうちに心を開き始めた想は、徐々に耳が聞こえなくなる不安を打ち明けた。頼れる友達がおらず、不安を抱える想に奈々は「音のない世界は悲しい世界じゃない。悲しいこともあったけど、うれしいこともいっぱいある。それは聴者もろう者も同じ」と勇気づけた。奈々はその後も想と会って話を聞くようになり、手話を教えるなど彼に寄り添い支えてきた。第4話(10月27日放送)では、ろう学校時代からの友達に想との関係を聞かれ「付き合ってないよ。都合よく会ってくれる友達としか思われていない」と返していたが、想と会うようになった紬のことを気にするようになっていた。紬もまた、想にとって奈々がどんな存在なのか気になり、この日の放送で、奈々について「どんな人?」と質問。想は「大事な人。だからちゃんと向き合おうと思っている」と伝えた。
後日、ショーウインドーに飾られた青いハンドバッグを眺める奈々に想から連絡があり、カフェで会うことに。「最近、よく2人で会う人がいて…」と切り出した想に奈々は「あの子(紬)に、(耳が)聞こえない想くんの気持ちはわかんないよ」と必死に訴えた。その夜、奈々は道路の反対側にいる想に電話をかけ、気づいた想と落ち合って笑顔で会話し、手に持っていた青いハンドバッグを持ち替えて想と手をつなぎながらデートする夢を見ていた。
翌日、奈々は紬が通う手話教室の前で待ち伏せし、話がしたいと誘った。手話を上手に話す紬に「想くんにも手話教わってる?」と確認。「はい」と答えた紬に、想に手話を教えたのは自分だと伝え「好きな人にあげたプレゼントを使いまわされた気持ち」と複雑な思いをぶつけた。奈々は「想くん、どんな声してる?」「電話したことある?」と立て続けに尋ね、「うらやましい。たまに夢見る。好きな人と電話したり、手繋いで声で話すの」と手話で表現し、涙ぐむとカフェを飛び出した。