【ドーハ8日=山下幸志朗】サッカーのW杯カタール大会に出場する日本代表の森保一監督(54)とコーチ陣が、選手に先立って当地に到着した。日本協会はアキレス腱(けん)に重傷を負ったDF中山雄太(25)=ハダースフィールド=に代わり、FW町野修斗(しゅうと、23)=湘南=を選出したと発表。今季J1で日本選手トップの13得点を奪ったストライカーが、ドーハ行きの切符をつかんだ。
今季のJリーグを盛り上げた〝忍者ストライカー〟が、忍ぶことなく堂々とW杯のピッチに立つ。追加招集された23歳のFW町野が9日の記者会見を前に、クラブを通じてコメントを発表した。
「日本を代表してカタールの地で戦えることに、誇りと責任を持って行ってきます」
日本協会は1日にW杯の代表26人を発表したが、メンバー入りしたDF中山が2日のリーグ戦で負傷。今季中の復帰が絶望となっていた。森保監督は7日、ドーハへの出発前、「DFに限らず選出していく。戦うオプションが広げられる選択をしたい」と方針を明らかにしていた。
185センチの町野は今季J1で日本選手トップ(リーグで2位)の13得点。右足で8点、左足で2点、頭で3点と多彩な得点パターンを持ち、体格を生かしてポストプレーでも貢献する万能型だ。忍者の里で有名な三重・伊賀市出身で、得点後に忍者のように両手を胸の前で握る「ニンニンポーズ」も注目を浴びる。代表初招集となった7月の東アジアE-1選手権で3得点し、得点王に。9月のドイツ遠征にも招集されており、連係面に不安はない。
成り上がり物語を成就させた。大阪・履正社高から18年に加入したJ1横浜Mでは出番がなく、翌年にJ3北九州に期限付き移籍。8得点でJ2昇格に貢献し、21年からJ1湘南で活躍する。J3チームに所属経験のある選手がW杯メンバー入りするのは史上初。24歳以下で編成された21年の東京五輪ではメンバー入りの話題にも上がらなかったが、急成長でライバルを追い抜いた。
「今までかかわってくれた全ての人に感謝しています。プレーで恩返しできたらと思っています」
湘南からのW杯代表入りは中田英寿らが選ばれた平塚時代の1998年フランス大会以来だ。選出された4人のFWで最年少の点取り屋が、相手のゴールに忍び寄る。