政府、長射程ミサイルを量産化 極超音速も開発へ

産経ニュース
防衛省外観(納冨康撮影)
防衛省外観(納冨康撮影)

他国への抑止力を持つ上で中心的な役割を担う長射程ミサイルについて、防衛省の10年先までの見通しが明らかになってきた。当面は海外産を活用するが、射程1千キロ以上に改良した国産ミサイルを量産化する。「抑止力強化には多様な種類、多様な発射形式が必要」(同省幹部)とされ、さまざまな発射形態へ派生させる「ファミリー化」も図る。将来的には極超音速誘導弾の導入も目指すが、裏付けとなる予算の確保が課題となる。

「北朝鮮が(数で相手の対処力を超える)飽和攻撃を訓練しているのは深刻だ。ミサイル防衛で対応しきれない。抑止力を高めるために反撃能力(敵基地攻撃能力)が早く必要だ」

北朝鮮が1日に数十発のミサイルを発射する状況について、小野寺五典元防衛相は4日の自民党会合後、記者団に懸念を示した。

政府は現状、敵を遠方から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」として長射程ミサイルを計画する。年末の国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定に合わせて保有を検討する反撃能力に活用する。

目前の脅威である北朝鮮とは別に、政府は令和9年までに台湾有事が起きる恐れを念頭に「5年以内の防衛力の抜本的強化」を掲げる。最大のポイントは中国大陸まで収める射程1千キロのミサイルの確保だ。

国産の「12式地対艦誘導弾」は百数十キロ程度のため、1千キロ以上に延伸した改良型の配備を8年度以降に目指す。

それまでの穴を埋める即戦力として期待するのが米国産トマホークだ。護衛艦の垂直発射装置(VLS)の改修で搭載が可能となる。射程1300キロ以上で対地攻撃できる威力は米軍が実証済みだ。同時に戦闘機から発射する空発型装備として海外産の「JSM」「JASSM」も導入する。

8年度以降は、12式改良型の量産化とともに空発型や艦発型へのファミリー化を図る。検討中の潜水艦発射型は発射の瞬間まで敵に撃つ場所を知られず、抑止効果は飛躍的に高まる。

将来は、中国や北朝鮮が先行する「極超音速誘導弾」を見据える。高速かつ低高度を変則軌道で飛ぶ極超音速兵器は最も迎撃が困難だ。凝縮した空気を燃焼して高い推進力を得られる「スクラムジェットエンジン」の実証を進める。

財務省は、長射程ミサイルによる抑止力向上には一定の理解を示しているようだ。ただ、1500基規模の獲得には継続的な予算確保が必要で、計画を確実に進捗できるかも焦点となる。(市岡豊大)

<独自>長射程ミサイル1500基確保 10年後めど


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