【ソウル=桜井紀雄】韓国・ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)の路地で日本人女性2人を含む156人が死亡した雑踏事故で、現場の路地周辺で違法・脱法増築が放置され、安全な歩行に必要な最低限の道幅が確保されていなかったことが分かった。複数の韓国メディアが2日までに伝えた。
韓国で広く横行している違法・脱法増築が、ハロウィンを前に押し寄せた人たちの過度な密集を生んだ上、避難や救助の妨げになった可能性がある。
現場に隣接するハミルトンホテルは、路地沿いに幅約1メートルの仮設フェンスを設けていた。このため、死傷者が集中した坂道の一部は、幅約3メートルと非常に狭くなり、混雑時の通行の支障となっていた。ただ、屋根が設けられていないため、違法とはみなされない、いわば脱法増築だった。
ホテルと賃貸契約する飲食店は坂道につづく道に、はみ出すようにテラス席を設置。管轄するソウル市竜山(ヨンサン)区は違法増築だとして是正を求めたが、罰金が科されただけで放置された。
警察は「道路法や建築法に抵触する可能性がある」としている。韓国紙、中央日報は、周辺の建物17棟のうち、区から一度も改善命令を受けていない建物は3棟だけだったと報じた。