山口県が公用車としてトヨタ自動車の最高級セダン「センチュリー」を購入したのは、違法な公金の支出だとして、元県職員の松林俊治さん(75)が県を相手取り、購入費2090万円の賠償を村岡嗣政知事に対して請求するよう求めた訴訟の判決で、山口地裁(山口格之裁判長)は2日、全額の賠償請求を命じた。
訴状などによると、かねて公用車としてセンチュリー3台を保有していた県は老朽化や経費削減のため、うち2台を下取りに出して一昨年、皇族や海外の賓客らの送迎用として新たに1台を購入した。原告側はコロナ対策などで財政が厳しい中、安価な車両の選定やレンタルも可能だったのに、センチュリーを購入したのは県の裁量権の範囲を逸脱し、違法だと主張していた。
県側は皇族に対する県民の敬意や、県が推進するインバウンド政策などにかかわり、購入は必要と反論。その判断は行政機関に広く認められている裁量権の範囲内で適法だとしていた。