過去の経験教訓に 日本の雑踏警備体制、入念な計画

産経ニュース

韓国ソウルの雑踏事故を巡っては警備の不備が次々と明らかになり、「人災」との声も上がっている。韓国の行政安全相が「警察と消防の配置で解決できる問題ではなかった」と発言したが、日本の警察関係者は「雑踏事故は死亡事故につながる。警察の役割は大きい」と指摘。日本でも過去に多くの人が犠牲となる雑踏事故が起きており、苦い経験を繰り返すまいと、雑踏警備は入念な計画に基づいて行われている。

警備の不備次々と

事故が起きた10月29日、現場となったソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)周辺のダンスクラブや飲食店には若者ら10万人以上が密集していたが、動員された警察官は137人で、多くは麻薬取り締まりなどを目的にしていた。韓国メディアによると、管轄の警察署や観光関係者らから事故発生への懸念が示されたものの、雑踏事故対策はほとんどとられていなかったという。

さらに、韓国の警察行政を統括する李祥敏(イ・サンミン)行政安全相は事故後に警備の不備を問われ、「警察官を通常より多く配置したとしても解決できる問題ではなかった」と発言。世論の強い批判が巻き起こっている。

警察が対策していても事故は防げなかったのか。警備に詳しい日本の警察OBは「死亡事故につながる雑踏警備について警察は非常に重視している。過去の積み上げが機能しないと事故が起こる」と指摘する。

日本でも過去に雑踏事故

雑踏事故による悲劇は日本でも度々起きた。昭和31年1月、新潟県内の神社の餅まき神事に3万人が訪れ124人が圧死。近年では平成13年7月、兵庫県明石市で花火大会の見物客が歩道橋上で転倒し11人が死亡、247人が負傷する事故が起きた。

警察庁はこの事故を受けて雑踏警備を行う場合は、警察本部に「雑踏警備実施指導官」、警察署に「雑踏警備実施主任者」と呼ばれる責任者を立て、警備態勢を確立するよう、全国の警察に指示した。

警察OBによると雑踏警備は、▽川のようにスムーズな人の流れを作る▽一点に集中するなどボトルネックを作らない▽装備資機材の有効活用▽適切な広報-を重視しているという。

当日の警備計画を作る上で重要なのが事前の情報収集だ。いつ、どこで、どのようなイベントが開催されるかを事前に入手し、どれくらい人出があるかを過去のデータなどを基に分析するという。そして実際に現場で地形や地理、交通機関、道路の幅員、収容人数などを調査し、警備態勢を決めるという。

事前の準備が重要

日頃から警察とイベント責任者、主催者などとの連携は必須だ。今回事故のあった梨泰院のハロウィンでは各店舗が個別にイベントを開催し、全体の主催者はいなかったとされる。

ただ、警察OBは「全体の主催者がいなくても、各店舗や商店街などから情報収集し、連携しておくべきだった」とする。平成22年3月には、東京・原宿の竹下通りに「芸能人がいる」という情報に人が殺到して折り重なるように倒れ、少女4人が病院に搬送される事故が発生した。

芸能人の情報が引き金とはなったものの、事故は突発的に起きたものではなく、当日は近くでアイドルグループのイベントがあり、周辺はかなり混み合っていたという。警察OBは「花火大会やライブなど大規模イベントだけではなく、開店イベントや安売りなど人が集まる情報を細かに収集する必要がある」とし、「急に人が集まって事故が起こることはない。必ず兆しがある。それをいかにつかむかだ」と強調した。(大渡美咲)

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