中2の長男も小4の次男もファッションに興味がなくて、親がテキトーに買った服を何も言わずに着ている。一方でオンラインゲームのキャラに着せるコスチュームにはこだわっていて、ときどき買って(課金して)ほしいとねだられる。自分よりアバターの見た目が大事らしい。
私もゲーム機やソフトの進化とともに過ごした昭和ゲーマー。何千時間もゲーム画面を眺めて過ごしているし、「ゲームなんて」と思ったりはしない。でもつい「オタ充」より「リア充」でしょ、とか言いそうになるのは世代ギャップだろう。
今月からスタートした「ゲームゲノム」(NHK総合、水曜夜)は、ゲームを文化として捉えて、名作ソフトの魅力を掘り下げる「初のゲーム教養番組」。かなり楽しめる内容だ。
ゲーム好きのゲストを招いて、内容を紹介しつつ特徴を解説。作り手との対話で、制作時の思いやノウハウなども明かされる。タイトルになっている「ゲノム=遺伝子」って何なのか、と聞かれると正直まだよくわかっていないけれど、ゲームによってプレーヤーが得られる(かもしれない)、生きていく上で大切なこと、みたいな感じ。
書いておきたいのは12日放送回の「ペルソナ5」。高校生の主人公が「心の中の戦い」で敵を改心させていくゲームだが、相手の気持ちを推し量るとか、ペルソナ(仮面)を使い分けるとか、「心」と直面させる仕掛けが凝っている。ゲームクリエーターの橋野桂さんの言葉にグッときた。「何かにぶち当たったとき、この世界も見方ひとつで捨てたものじゃなくなる。(プレーしたあと)そういうのが残ってほしい」。
ゲームは虚構にすぎない。それでも新たな視点を得られたり、人間について学べたりする。読書や映画鑑賞が世界を広げるのと同じ。放送直後にポチッた「ペルソナ5」が家に届いた。息子たちがどうプレーするか、ちょっと楽しみ。(ライター 篠原知存)