政府は20日、防衛力強化に向けた防衛費のあり方や財源などを話し合う有識者会議(座長・佐々江賢一郎元外務次官)の第2回会合を官邸で開いた。安全保障に関わる研究開発費やインフラ整備費について、有識者から「省庁の枠を超えた対応が必要だ」との意見があったほか、研究開発費を安保関連経費に算入する仕組みについて提案が出た。政府は会議の提言を受け、年末に向けて進める国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定に反映させる。
この日の会議では、安保関連経費に海上保安庁予算やインフラ整備、研究開発費を含めることについて、海保や港湾を担当する斉藤鉄夫国土交通相や鈴木俊一財務相らが説明した。財務省は提出資料で、防衛力強化に向け、防衛省以外の省庁の施策や資源を生かす必要があると主張した。
有識者からは「省庁縦割りを打破して一丸となる仕組みが必要だ」など賛成する意見が多かった一方、「(教育機関の)大学に防衛研究に関わってもらうことは慎重にやる必要がある」との声もあった。
また、科学技術に詳しい有識者から、大学などの研究者と防衛省の研究者が共同で参加する研究機関を設立し、防衛のニーズに合わせた研究開発を進める仕組みについて提案があった。
岸田文雄首相は会議で「防衛態勢強化に資する研究開発やインフラ整備を大いに進めるべく仕組みを早急に検討する」と強調。防衛力強化に必要な財源確保の考え方について、検討状況を次回会合で報告するよう鈴木氏に指示した。
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国家安全保障戦略と防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画について、これまで「戦略3文書」としてきましたが、今後は「安保3文書」と表記します。安全保障に関する3文書であることを分かりやすくするためです。