LNG供給、綱渡りの冬 日豪首脳会談で協力要請へ

産経ニュース
日豪首脳会談を前に握手する岸田文雄首相(右)とオーストラリアのアルバニージー首相=9月27日、東京・元赤坂の迎賓館
日豪首脳会談を前に握手する岸田文雄首相(右)とオーストラリアのアルバニージー首相=9月27日、東京・元赤坂の迎賓館

22日にオーストラリアで行われる予定の日豪首脳会談で、岸田文雄首相はアルバニージー首相に液化天然ガス(LNG)の安定供給で協力を求める方向だ。経済産業省は9月に開催した「LNG産消会議」でLNGの供給網強化策を打ち出したが、豪州以外の主要な輸入相手国は生産設備の事故などで供給不安があるためだ。今冬のLNG調達に支障が出れば、電力や都市ガスの供給に影響が及ぶ可能性があり、最大の調達先・豪州との関係強化で万全を期す構えだ。

「官(国)が主導して、さまざまな対策をとることが重要」、「供給途絶が生じれば、代替調達が難しくなることも想定される」。17日の経産省の審議会でも有識者からLNGの需要が高まる冬に向け、万全の対応を求める声があがった。

経産省はLNG産消会議で、国際協力銀行(JBIC)によるLNG輸入企業への低利融資や、マレーシア国営の石油・天然ガス会社「ペトロナス」との連携に関する覚書の締結など安定調達への対策を相次いで打ち出した。

ただ、10月に入りペトロナスは、9月下旬に発生した地滑りによる設備の損傷と購入相手への供給義務を免れる「不可抗力条項」を宣言した。財務省などによるとマレーシアからのLNG輸入シェア(令和3年)は豪州に次ぐ2位の13・6%で、日本への影響も懸念される状況だ。ペトロナスの子会社には大手商社の三菱商事が一部出資しており、同社は「影響は精査中。対応に万全を尽くすよう(先方に)要請している」(広報)と話す。

4位の米国でも、大阪ガスなどがLNGを調達している米テキサス州の「フリーポートLNGプロジェクト」のプラント火災の影響が出ている。運営会社によると、11月から一部で操業を再開する予定だが、完全復旧に時間がかかれば、さらに調達が制約される懸念がある。

5位のロシアは、ウクライナ侵攻への対抗措置で日本は先進7カ国(G7)の一員として経済制裁を科しており、関係が悪化している。一旦は日本企業の権益維持が認められた極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」をめぐって、ロシア側がLNG調達で日本側に不利な条件を突き付けてくる可能性は残る。

今冬の電力需要に対する供給余力を示す予備率は、全国で安定供給に最低限必要な3%は上回っており、都市ガスの供給に必要なLNGも現時点では問題はない。だが、LNG調達に何か支障が生じれば、電力や都市ガスの需給逼迫(ひっぱく)が深刻化しかねない。政府としては、まずLNG輸入量の35・8%を占める豪州との間で調達難に陥った際の融通など具体的な備えに向けた取り組みも進めたい考えだ。(永田岳彦)

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