維新、立民との共闘に潜むリスク 大阪社会部次長・清宮真一

産経ニュース
国会での共闘に合意した立憲民主党の安住淳(右)、日本維新の会の遠藤敬の両国対委員長
国会での共闘に合意した立憲民主党の安住淳(右)、日本維新の会の遠藤敬の両国対委員長

立憲民主党と日本維新の会が国会での「共闘」に乗り出して間もなく1カ月がたつ。この間、9月21日に交わした合意に基づき、要求から20日以内の国会召集を政府に義務付ける国会法改正案のほか、マインドコントロール状態での献金被害を取り戻せるようにする悪質献金被害救済法案などを衆院に共同提出した。

同じ野党とはいえ「水と油」と思われていた立民と維新が共闘に合意した理由は、維新の馬場伸幸代表の言葉を借りれば「党利党略ではなく、国家国民のためだ」という。

ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高や安倍晋三元首相の国葬、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題などを巡り、機を見るに敏とはいいがたい岸田文雄政権に揺さぶりをかけ、政策実現につなげる-。こうした思惑が一致した末の「共闘」というわけだ。

立民国対筋によると、あえて「共闘」の2文字を合意文書に盛り込んだのは、維新側の反応をみる狙いもあったという。「馬場新代表が松井一郎氏(前代表)の意向に左右されずに意思決定できるのかを見極める試金石でもあったが、今のところ不安はない」

維新側にすれば松井代表時代に安倍晋三、菅義偉(すがよしひで)両政権との間で築いたパイプが岸田政権になって通じなくなり、政府の政策に党の意向を反映することが難しくなった。ある維新衆院議員は「共闘合意のハレーションは大きかったが、あれくらいのショック療法をやらないと、自民党も動かず効果がない」と言い切る。

安倍、菅両政権時は、野党でありながら与党に近い「ゆ党」だとか「自民の補完勢力」だと揶揄(やゆ)されてきた維新。単独で自民を動かすだけの議席を衆参両院で持たない以上、たとえじり貧でも野党第一党である立民との共闘は、維新の存在感を示すための「党利党略」もあるだろう。

そのこと自体を否定するつもりはない。問題は「見え方」だ。直近2回の国政選挙で第三極として伸長してきた維新が、立民と共闘している画(え)をみた有権者がどう受け止めるか。立民の連携相手は維新だけではない。場合によっては、共産党やその他の野党を巻き込んで政権を追及することもあるはずだ。

馬場氏は選挙協力について「地獄に行く気はない」と否定するが、立民に主導権を握られたまま、消極的でも選挙協力という形になっては目も当てられない。これまで以上に是々非々路線を鮮明にできるかが問われる。

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