立憲民主党は衆院予算委員会での論戦が始まった17日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題に質疑時間の4割近くを割いた。被害者救済の法律を今国会で成立させるため岸田文雄首相に協調を働きかけるとともに、教団関連の会合に何度も出席していた山際大志郎経済再生担当相らの追及にも時間を費やし、硬軟両様で揺さぶりをかけた。
首相は17日、旧統一教会に対し、宗教法人法に基づく「質問権」行使による調査を行うよう永岡桂子文部科学相に指示。一方で立民は同日、日本維新の会と共同で「悪質献金被害救済法案」を衆院に提出した。マインドコントロール状態での献金被害を本人や家族が取り戻せるようにし、罰則付きの是正命令も可能にする内容。予算委でもこれらの対応が議論になった。
「速やかに調査し、解散請求を判断するなら一歩前進だが、期限がないなら時間稼ぎだ」。立民の山井和則国対委員長代理は、質問権行使による調査の期限を示すよう繰り返し首相に要求。「解散請求に勝る被害者救済はない」として、速やかに宗教法人法に基づく解散請求に踏み切るよう迫った。
山井氏は救済法案について「政府と協力し、この国会で成立させたい」と首相に働きかけ、悪質献金の被害者らと面会することも求めた。首相は法案について「野党の意見も参考にしたい」と述べ、面会にも前向きな意向を示すなど、救済に関してはある程度、かみ合う質疑となった。
一方で立民は、問題が指摘された閣僚の追及にも力を入れた。後出し的に教団関連会合への出席を認めてきた山際氏については「新型コロナウイルス対策や物価高の議論は噓をつく大臣とはできない。不適格だ」(大西健介政調会長代理)と攻め立てた。自身の政治団体から妻に事務所賃料を支払っていた寺田稔総務相らにも矛先を向けた。
岡田克也幹事長は、公文書の改竄(かいざん)問題などを挙げ「内閣と国会の関係がゆがんでいる」と提起。首相の反応に満足せず「そういう答弁をしているから支持率が下がっちゃうんですよ」ととがめる場面もあった。(千葉倫之)