茨城県土浦市産の「常陸秋そば」を原料とするそば焼酎「土浦小町」の瓶詰め作業が製造元の明利酒類(水戸市元吉田町)で完了し、11月1日の店頭販売を待つばかりとなっている。製造2年目の今回は前年を上回る2700本を出荷する予定で、関係者は3年ぶりの開催となる「土浦全国花火競技大会」(同月5日)に合わせて、売り出しを図ろうと意気込んでいる。
土浦小町の原料は、土浦市新治地区の農家11戸が生産し、市農業公社が買い付けたそばの実900キロ。明利酒類では5月に1次仕込み、2次仕込み、蒸留の順に作業を行い、9月下旬まで熟成させた。商品名は平安時代の歌人・小野小町が、土浦市の現在の常陸秋そばの産地付近で晩年を過ごしたといわれていることに由来する。
明利酒類では、そば焼酎の軽快でさわやかな香りを際立たせるため、〝減圧蒸留〟という方式で生産する。同社の皆藤茂樹技術部長によれば、今年の製品は「そば本来の甘み、香りもあり、非常に飲みやすい、いい出来栄え」という。
昨年生産した2300本は販売から約1カ月半で完売。今年は昨年を上回る注文が寄せられているという。完成した焼酎は瓶に機械で充填(じゅうてん)し、キャップを締めた後、従業員の手作業で「土浦小町」のラベルが一本一本に貼られた。
製品は今月下旬に出荷が開始され、「本格焼酎の日」に制定されている11月1日から店頭で販売される。720ミリリットルで希望小売価格は1500円(税込)。主に土浦市を中心としたスーパーや酒販店などで扱われる予定だ。
明利酒類では花火競技大会に合わせ、PR用に夜空に広がるさまざまな花火の写真をあしらい、焼酎の瓶に下げる「首掛け」も作成。希望する販売店へ提供する。同社酒類販売部の川口幹夫課長は「大会当日には土産用に買ってもらうため地元で店頭販売も行い、全国にPRしたい」と準備に余念がない。(三浦馨)