14日の東京外国為替市場で、円相場は一時1ドル=147円台後半で取引された。米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅な利上げが続くとの見方から円を売って運用に有利なドルを買う動きが広がった。前日の海外市場では約32年ぶりの円安水準をつけ、次の心理的節目となる150円台が近づく。政府と日本銀行による「次の為替介入」に向け警戒感が高まっている。
14日午後5時現在は前日比64銭円安ドル高の1ドル=147円47~49銭。
円安進行を止める材料は見当たらず、平成2年8月につけた1ドル=150円台が視野に入ってきた。再介入がいつあってもおかしくはなく、政府・日銀と市場の探り合いが続く。
13日に発表された9月の米消費者物価指数は前年同月比8・2%上昇と市場予想を超える高い伸びとなった。インフレ抑制のため、FRBは次回11月の連邦公開市場委員会(FOMC)でも通常の3倍となる0・75%の利上げを決めるとの見方が強まった。
一方、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は13日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で「経済・物価に対して適切な金利を考えると(金利を)引き上げる必要はない」と述べ、大規模な金融緩和を続ける考えを強調。日米の金融政策の方向性の違いが鮮明となった。
SMBC信託銀行の二宮圭子シニアFXマーケットアナリストは「日本が再び為替介入しても、円安ドル高の流れを変えるのは難しい。しかも11月に向けて相場は要注意だ」と語る。
市場の一部では、11月のG20サミットでドル高是正の国際協調が行われるとの観測が浮上する。債券市場を混乱に陥れた英トラス政権の大規模減税計画の動向からも目が離せない。複数の波乱要因が想定され、市場の先行きは混迷を深めている。