岸田文雄内閣の支持率が急落している。不支持率が支持率を逆転した。発足以来、50%以上の支持率を維持してきた岸田首相にとっては、内心穏やかではないだろう。早く元の水準に戻したい思いもあるのではないか。
しかし、焦りは禁物である。数字に一喜一憂することなく、やるべき課題に全力投球すべきだ。
岸田首相が言うように、わが国は内外に多くの課題を抱え「国難」ともいえる難局に直面している。それだけに国民の不安や不満もこれまで以上に充満している。ちょっとしたきっかけで、「荒ぶる世論」に変化しやすい状況なのである。
このような状況で一方の意見に加担すると、もう一方から不満の声が上がって収拾がつかなくなる。ここは、腰を据えて問題の本質を把握し、辛抱強く沈静化に努めるしかない。生半可な迎合は禁物である。
自民党から民主党への政権交代前、世論調査の内閣支持率はそれほど高くなかった。例外的な政権もあったが、50%を超える支持率を長くキープすることは少なかったのではないか。
野党が吸収できない政治的不満を含め、自民党が「世論の矢面」に立っていたからだ。つまり、「政治が悪いのは、すべて自民党の責任」だったのである。