原子力の海外若手研究者・技術者らを育成しようと、大阪府内の原子力関連施設などで国際原子力機関(IAEA)による「研究炉スクール」が開かれている。国内で原子力人材育成の実績がある近畿大原子力研究所(同府東大阪市)では、研修参加者らが近大原子炉を運転する実習を受けた。
スクールは令和元年に続き2回目の開催。タイやタジキスタン、南アフリカなどアジア、アフリカの7カ国から10人が参加した。近大原子炉の運転を体験した国立モンゴル大研究員のスードル・ゾルバドラルさん(37)は「手作業での運転は初めてで、興奮している。モンゴルに研究用原子炉がないので、母国の学生らも体験できる機会があるとよい」と話した。
研修は、近大や京都大複合原子力科学研究所(大阪府熊取町)、福井県国際原子力人材育成センター(同県敦賀市)などで20日まで行われる予定。近大では実習を通じ、放射線で物質の測定に使われる中性子とX線(レントゲン)の違いなども学ぶ。
近大によると、近大原子炉は国内初の民間・大学原子炉として60年以上の歴史があり、原子力人材の育成だけでなく、企業や研究機関などの依頼で医学・産業利用の実験などにも使われているという。