<特報>魂揺さぶる最期のメッセージ…猪木さん動画など反響

産経ニュース
アントニオ猪木さん
アントニオ猪木さん

病で衰えゆく自分の姿を誰かのために残す意味とは-。闘病中や生前の様子を動画に収め、関係者へのメッセージにしようとする人がいる。「弱い俺を見て」。今月1日に79歳で死去した元プロレスラーのアントニオ猪木(本名・猪木寛至=いのき・かんじ)さんの動画が特に反響を呼んでいる。一般人の間でも広がりを見せ、今年4月に45歳で早世した緩和ケア医の男性が、自身の葬儀で上映した動画も見る人の魂を揺さぶる。専門家は「弱さを受け入れる『強さ』に気づかせてくれる」と話す。

反響を呼ぶアントニオ猪木さんの動画。闘病生活やこれからの目標を語った(©IGF)
反響を呼ぶアントニオ猪木さんの動画。闘病生活やこれからの目標を語った(©IGF)

アントニオ猪木「最期の言葉」(YouTube)


「あるがままでいい」

猪木さんの動画は死去10日前の9月21日に撮影された。衰弱し、上体を起こすこともできない猪木さん。ベッドの上で「欲もまったくない」と切り出し、天井の木目を数えたり、口を動かす練習をしたりして過ごしていると明かした。

やせ細った様子は往年の姿には程遠い。しかし本人は「あるがままでいい。みんなに見てもらって、弱い俺を。しようがないじゃん」と言い聞かせるように語り、「世間が猪木に期待してくれるなら」と前を向いた。

ユーモアにもあふれていた。活躍を望む声について問われると「この声が一番、俺の敵」。しかし勝負師らしく「でも敵がいる限りいいじゃないですか」と続け、笑いを誘った。

動画は猪木さんが死去した今月1日、「最期の言葉」としてユーチューブに公開された。《最後まで前に進もうとする、まさに『闘魂』を見せてくださった》《逃げずに攻め続けた猪木さんに感謝》。すでに800万回以上再生され、別れを悼んだ国内外のファンがコメントを寄せた。

「最高の人生でした」

神戸市灘区の「関本クリニック」院長だった関本剛(ごう)さんは、43歳を目前にした3年前、肺がんが見つかった。緩和ケア医として多くのがん患者を支えてきたが、自らもがんと向き合うことになった。同じ医師の母、雅子さん(73)が開業した医院を継ぎ、1年が過ぎた頃だった。脳への転移も判明し、宣告された余命は2年だった。

大切な家族や友人との時間を大切にしながら、死の1カ月前まで患者に接し続けた。今年4月、自宅で妻らにみとられながら最期を迎えた。45歳だった。

「お忙しい中、私の葬儀に参列頂きましてありがとうございます」。葬儀では遺言通り、生前に収録された関本さんのビデオメッセージが流された。葬儀で妻にあいさつをさせるのは忍びない、との関本さんの配慮でもあった。

ビデオメッセージの最後、笑みを浮かべ手を振る関本剛さん(遺族提供)

穏やかな表情でカメラを見つめ、「平均寿命からしたらいささか短い人生」としながら「一言で言うと『最高の人生』でした」。ただ残していく家族が「唯一の気がかり」とこぼした。

悲壮な雰囲気はなかった。「先に逝かれた先輩たちと宴会三昧の日々。後から来られる皆さまのため、いいお店をアテンドさせていただきます」と場を和ませた。最後のあいさつは「さようなら」ではなく、「また会いましょうね」。柔和な笑みで手を振った。

残された人のケアに

動画は8月に地元新聞社に取り上げられ、再生回数は300万回を超えた。

雅子さんは産経新聞の取材に「死の先が無ではないと、前向きに受け取られたのでは。多くの人に見てもらいありがたい」と話す。

亡くなった関本剛さんに代わり院長を続ける母親の雅子さん=神戸市灘区

雅子さんは動画に添えられたコメントにも目を通している。「『死後アテンドしてほしい』と書いてくださる方もいて。あちらで知らない人に声をかけられ剛も驚くだろうね、と家族で話しています」(雅子さん)

故人が動画を残す意義について、雅子さんは息子を失った自らの体験から「本人や残された人たちにとっても心のケアになる」とし、「技術が進んだ今だからこそ、メッセージを動画で残す人は今後増えるかもしれません」と語った。

なぜ生前に記録された動画が人の心をつかむのか。死生観に詳しい広井良典・京都大人と社会の未来研究院教授によると、日本では長らく、死を思い煩わずに健康なまま最期を迎えるのが望ましいとされてきた。だが医療技術の進展などで、実際は介護を受けたり認知症を発症したりする高齢者が増えている。

「さまざまな困難を抱えながら、緩やかに生から死へ移行していくのだと人々がとらえるようになった」と広井氏。「病と闘い、ありのままの自分を発信する動画には『強さ』が満ちている。それは弱さを受け入れる強さでもある。その大切さを改めて気付かせてくれたのではないか」と考えている。

「エンディングムービー」一般人にも身近に

終活などの一環で家族や親しい人たちに向け、生前にメッセージや人生の振り返り動画を撮影するサービスが増えている。

映像制作会社「オーダーメイド」(大阪府門真市)は、個人が家族などに向けたメッセージを動画として残す取り組みを数年前から始めた。木瀬健一郎代表(34)によると、父親を亡くした際に本人の映像がほとんど残っておらず、「もっと動画を残しておけばよかった」と後悔したことがきっかけだという。

依頼があれば、希望の撮影場所や質問事項を聞き取り、撮影に臨む。動画の内容は、インタビュー形式もあれば、家族らに伝えたいメッセージを話すスタイルもある。順調に進めば、2週間以内にはDVDに収録された動画が手元に届く仕組みだ。

同社がこれまで制作した動画は約10本。ただ高齢者の家族が写真や動画を持ち込み、編集して作るパターンがほとんどという。

木瀬さんは「残される人はつらいが、(故人が)元気だったころの話す姿を見るだけで気持ちが落ち着く。時間がたって記憶が薄れてきても、動画を見ることで鮮明によみがえってくる」と、動画を残す大切さを語った。

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