今から27年前、1995年1月のこと。「12人のおかしな大阪人」と題された舞台が幕を開けた。キャストは当時の関西小劇場を代表する看板役者達(升毅・生瀬勝久・川下大洋・キムラ緑子・三上市朗・わかぎゑふ・山西惇・蟷螂襲・牧野エミ・みやなおこ・コング桑田ほか)。
これは、その5年前に三谷幸喜作・演出で上演された東京サンシャインボーイズによる「12人の優しい日本人」にインスパイアされたもので、陪審員制度が導入された日本で、その12人が全員大阪人だったらどうなるのかというお話。最初から最後まで〝いちびり〟まくる人々のすさまじいまでのボケとツッコミの応酬と〝どないやねん〟なオチによって、大阪と東京の観客を呆れさせ、伝説となった。
この舞台が昨年11月に、「12人のおかしな大阪人2021」として蘇った。演じたのは、今の関西演劇界を背負って立つ精鋭たち12人だ。初演から四半世紀。時代も変わったのでそれに応じた新しい上演台本と演出を、かつての「12人―」で小学生の男の子を演じたわかぎゑふが担当し、大阪だけの公演を開催。ここ数年、盛り上がってきた関西の演劇界の勢いをそのまま爆発させて見せ、好評を博した。私もその現場を体感させていただいたが、強く感じたのは「大阪人のDNAは不滅やな。時代なんか関係あらへん」ということだった。
キャストは初演よりふた回りほど若いが、セリフの間、笑いのツボ、なぁんにも変わってない。それも「このメンバー、習うとか稽古で身につけるとかじゃなく、もう持ってるやん!」ということなのだった。大阪人(関西人)は、そこで生まれ育ったことで、すでにそのレベルに達しているのだ。