ヤクルト・村上宗隆内野手(22)が今季最終戦の最終打席で、ついに1964年の王貞治(巨人)を超える日本出身選手最多の56号本塁打を放った。3日のDeNA戦(神宮)で7回に入江から右翼席へ実に14試合、61打席ぶりとなる一発。球団スポンサーが用意してきた「1億円の家」が、3億円に増額されて贈呈されることが決まった。さらに打率・318、134打点とあわせ、史上8人目(通算12度目)の三冠王を最年少で獲得。土壇場で描いた歴史的なアーチは、破格の副収入を運んできそうだ。 (塚沢健太郎)
打率を維持し三冠王を死守するため、試合前の段階で無安打が許されていたのは3打数まで。2打席目に左前打を放ったことで自ら増やした〝ラスト1〟、4打席目で待望の一発が飛び出した。
「プレッシャーがなかったと言えばウソになる。自分でもビックリ。最後のご褒美かな。偉大な方の記録を破ることができて、本当にすごくうれしい」と村上は笑顔。高津監督も「シーズン最後の打席で本塁打が出るなんて、なかなか漫画でも書けないようなこと。最後の一発を仕留めたのは今年を象徴する打撃」とたたえた。
実は1963年に野村克也(南海)が当時のシーズン日本記録、52号本塁打を放ったのもシーズン最終打席。生前のノムさんはプロ1年目の村上に「王の記録なんか破っちゃえ」とエールを送ったが、天国から後押しがあったのかもしれない。