from和歌山

生涯のテーマ、これからも

産経ニュース

段ボール箱に、自身で作成したスクラップブックを入れていく。和歌山から兵庫・洲本(淡路島)への異動が決まり、荷造りを進めていた。和歌山での勤務も2度目なら洲本も2度目…。何気なくスクラップをめくると、ある記事に目が留まった。平成27年2月に和歌山県紀の川市で発生した男児殺害事件と、昨年7月に和歌山市で起こった多重死亡衝突事故に関わる内容だ。

紀の川市の事件では市立名手小学校5年、森田都史(とし)君=当時(11)=が近所の男に殺害された。懲役16年の実刑となった加害者・中村桜洲受刑者(30)に対する民事訴訟では4千万円超の損害賠償が確定したが、これまで1円も支払われていないうえ、遺族側に謝罪の手紙すら寄せられていない。父親(74)は訴える。「弱い者が泣き寝入りをすることが許されるのか」

父親は「(支払いが)100%ではないにしても、それに近い形で(加害者側と)お互いに納得できれば」と考える。ただ、「お金の問題ではない。償いの意思を示させるには、そうするしか方法がないからだ」。

事件の陰で涙する人は、ほかにも多くいる。和歌山市で昨年7月に起こった多重衝突事故では、ミニバイクに乗っていた竹田汐里(しおり)さん=当時(22)=が命を奪われた。和歌山西署は自動車運転処罰法違反(危険運転致死)容疑で車を運転していた50代女性を逮捕、送検。だが和歌山地検は今夏、女性を不起訴処分(嫌疑不十分)とした。

その後、父親の正義さん(57)と母親の典子さん(56)は和歌山検察審査会への審査申し立てを表明。記者会見で正義さんは「自分は到底(結果に)納得できない。起訴を信じての1年間でした」。典子さんは「娘はまだまだ生きたかったであろうに、夢も希望も閉ざされてしまいました」と声を詰まらせた。

今回の2年8カ月にわたる和歌山勤務では警察・司法などを担当し、生涯追わねばならないテーマに出会った。つらい境遇にある人々が救われない。記事を書き、世に訴えることで未来を少しでもよい方向に変えていかなければ。

10月から働く場所は変わる。だが、この主題はどこにいても追い続ける。そう誓い、スクラップを箱へしまい込んだ。

再びの和歌山勤務で巡り会ったすべての方々に深い感謝を。再会できる日を心から願って。(藤崎真生)

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