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アルピニスト・野口健<22> 〝自前〟で調達可能「地熱発電」推進を

産経ニュース
福島第1原発20キロ圏内の牧場で防護服に身を包む
福島第1原発20キロ圏内の牧場で防護服に身を包む

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《ロシアのウクライナ侵攻によって、原油価格が高騰。東日本大震災(平成23年)以降、多くの原発が運転停止中で、火力発電に頼らざるを得ない日本のエネルギー問題の課題が改めて浮き彫りになった》


原発には、(東日本大震災時の)東京電力福島第1原発のような事故が起きるリスクがある。それも分かった上で、コストや電力の安定供給、二酸化炭素(CO2)の削減を考えた場合、やはり原発にかなうものはありません。今後も日本の発電の「1つの柱」として考えざるを得ないでしょう。

それを踏まえて提言したいことがあります。現在のルールでは原発の再稼働などには地元の了解が必要です。もちろん「安全」「住民の生命」は何よりも優先せねばなりません。だが、こうしたルールでは、純粋な「科学的な見地」だけではなく「政治的な思惑」が入り込んでしまう可能性がある。原発に反対する声は一定程度、常にあり、このままでは動きが取れません。僕は、「安全面」を徹底して検証した上でルールを緩和すべきだと思うのです。


《原子力や火力に代わる「クリーンエネルギー」「再生可能なエネルギー」として太陽光、風力、波力など、さまざまな取り組みが行われているが、それぞれ「一長一短」があり、なかなか進まない。そうした中で野口さんが注目しているのは「地熱」発電だという》


原油を使う「火力」は輸入に頼らざるを得ないこと、温室効果ガスを大量に排出することからも、将来は日本のエネルギー政策における「柱」から外さざるを得ないと思います。

では、原子力と並ぶもうひとつの「柱」をどうするか? 水力はすでに限界。太陽光発電もいいと思いますが、大規模なメガソーラー施設を設置するには日本の国土は狭い。森林を伐採したり、農耕地をつかったりしてメガソーラーを設置することには反対です。風力も「海上」ならいいが、陸上に設置する、となれば騒音問題も起きます。いずれの発電方法もメリット、デメリットはあるでしょう。

そうした中で地熱発電は、一番可能性がある、と考えています。日本は火山国であり、発電機を回すタービン製造の技術は日本企業が世界的にも先行している。エネルギーの安全保障を考えた場合、〝自前〟で調達可能なエネルギーとして地熱をもうひとつの「柱」にすえた政策を推進すべきだと思うのです。

日本企業がタービンをつくったケニアの地熱発電所を見学したことがあります。アフリカ諸国は経済的に火力発電には頼れない(原油を買えない)。そこで再生可能エネルギーとして、日本の協力で地熱発電に踏み切り、慢性的な停電に悩んでいた首都ナイロビの電力事情は一気に改善されました。


《地熱発電のデメリットは、発電所設置のためにまず地盤のボーリング(掘削)調査などを行う必要があり、10年以上の時間とコストがかかることや、(掘削によって)「温泉が枯渇するのではないか」と反対する声も少なくはない》


とくに、温泉旅館を経営する観光業者の反対は強硬なようですね。ただ、僕が専門家から聞いたところでは、温泉が出る層と、地熱発電で使う層は「深さ」が違う。

さらに地熱発電に適した場所の多くが国立公園内にあり、開発が難しいという面も指摘されていますが、どんな発電方法にも反対する勢力や困難な面はあるでしょう。長い目で見て、「自前のエネルギー」として地熱に取り組むべきだと思う。原発は再稼働ができても寿命はせいぜい50年くらい。新設を考えられない以上、その間に代替方法を考えねばなりません。(聞き手 喜多由浩)

<23>へつづく

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