桜と菜の花畑の景観守りたい 鳴子温泉の風発計画へ反対続々

産経ニュース
河川敷に広がる菜の花畑と桜。背後の山の尾根沿いに、巨大風車が立ち並ぶ計画が進んでいる=4月、宮城県大崎市鳴子温泉川渡
河川敷に広がる菜の花畑と桜。背後の山の尾根沿いに、巨大風車が立ち並ぶ計画が進んでいる=4月、宮城県大崎市鳴子温泉川渡

宮城県大崎市の鳴子温泉郷での大規模風力発電(風発)計画をめぐり、地元自治会「川渡(かわたび)地区親交会」(加賀元会長、160戸)は21日、建設に反対する意見書を伊藤康志市長に手渡した。住民団体「鳴子温泉郷のくらしとこれからを考える会」(曽根義猛代表)なども同日、反対署名1588筆を提出。これまでの署名と合わせ計4683筆となった。

市によると、伊藤市長は「意見を重く受け止めている。事業者の環境影響評価(アセスメント)の結果を見て、市として賛否を示したい」と述べた。

計画は「(仮称)六角牧場風力発電事業」。札幌市の市民風力発電(鈴木亨社長)が出資する事業目的会社「川渡風力発電」が、放射性物質に汚染された東北大の牧場地に高さ最大200メートルの風車を最大17基建設。周辺の2つの風発計画と合わせ最大110基以上が鳴子温泉郷を取り囲む。

親交会は反対の理由として、土砂災害や健康被害の懸念、景観への悪影響を列挙。大崎市内では7月の記録的な大雨で大きな被害が出たばかりだった。また、川渡温泉地区は河川敷の菜の花畑や桜並木で知られ、地域住民が草刈りなどをして景観を守ってきた。春には菜の花祭りも開かれる。

ところが、川渡風力発電が作成したイメージ画像では、川の土手沿いの桜並木から菜の花畑を望んだ背後の山の尾根に、巨大風車が立ち並んでいた。親交会は「この美しい景観が私たちの手の及ばないところで壊されることは、受け入れがたいことです」と訴えている。

一方、計画地の上空は絶滅危惧種シジュウカラガンの渡りのルートであることが判明。絶滅寸前だったシジュウカラガンの渡りを復活させ、今年国内外の重要な賞を相次ぎ受賞した保護団体「日本雁(がん)を保護する会」の呉地正行会長は8月29日、伊藤市長を表敬し「バードストライクによりシジュウカラガンに重大な影響を与える」と懸念を表明した。伊藤市長は「ご指摘をよく検討していきたい」と述べた。

今月12日には地元の「鳴子温泉郷観光協会」(高橋宣安会長)も「観光地・保養地としての価値を大きく傷つける」として、伊藤市長に建設に反対するよう求める意見書を提出。市によると、伊藤市長は「観光協会の反対は大変重いと受け止めている」と述べた。

環境アセスメントの手続きは現在、第2段階の「方法書」まで進んでいる。第3段階の「準備書」は年内にも事業者から提出される見通し。準備書に対しては知事が意見を出す手続きがあり、その際は市町村長の意見を聴くことになっている。伊藤市長はその段階で、一連の民意を受けた賛否を示すことになる。

川渡風力発電側の担当者は23日、「反対の声は重く受け止めている。一方で住民説明会では反対の声は特になく、賛成の声もある。反対している方々の理解を得られるよう、丁寧に説明していきたい」と話した。

鳴子温泉郷は、環境省が「国民保養温泉地」に指定する全国有数の温泉地。

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