主張

規制委発足10年 原発動かす審査めざせ 国の政策と整合性が必要だ

産経ニュース

東京電力福島第1原子力発電所事故の教訓を踏まえて組織された原子力規制委員会が、設置から満10年を迎えた。エネルギーに関わる国内外の情勢が大きく、かつ急速に変化する中で迎えた節目である。2020年から運用が始まった「パリ協定」で脱炭素社会の実現が世界共通の課題となり、二酸化炭素を出さない原子力発電の価値が再認識されている。

そこにロシアのウクライナ侵攻が勃発(ぼっぱつ)し、低炭素燃料である天然ガスの入手難と価格高騰が進み、欧米では原発新設や小型炉開発の活発な動きが加速している。原発は必要なら数年間の連続発電が可能で、そのエネルギー安全保障力の強さを見込んでの推進だ。

稼働足りず危機広がる

世界の取り組みに比して日本の現状は見劣りする。福島事故を機に、国内の原発は54基から33基に減っている。しかも発電可能な原発は10基に過ぎない。主たる理由は規制委による安全審査が進んでいないためである。

規制委は福島事故翌年の平成24年9月19日に発足した。「2030年代の原発稼働ゼロ」を掲げた当時の民主党政権によって組織された。その誤った認識が規制委と規制庁に染みついているなら、この機に洗い落とすべきだ。

更田豊志氏に代わって新委員長となる山中伸介氏には、国の行政機関としての規制委の役割を再確認してもらいたい。

規制委は独立性の高い三条委員会だが、その設置法の第1条には「国民の生命、健康および財産の保護、環境の保全並びにわが国の安全保障に資することを目的とする」と定められている。

原発再稼働の遅滞で、首都圏を含む東日本の電力不足が深刻化している。3月には地震と寒波で国内初の電力需給逼迫(ひっぱく)警報が東北、東京電力管内で発令され、6月には暑さで逼迫注意報が東電管内で出されている。審査遅れのツケが社会に回ってきた形だ。

原発が動かないことによるリスクの肥大を察知した岸田文雄首相は、東日本を含めて7基の原発を来夏以降に再稼働させる方針を8月に打ち出した。また、安全性を大きく高めた次世代の革新的原子炉の開発・建設に向けた検討を進める考えも併せて示した。

これらの方針は規制委が関わる課題である。これまでの規制委の活動には、行政機関でありながら政府との連動の歯車がかみ合わない部分が少なくなかった。

山中氏は規制委・規制庁の審査のあり方が、国の政策と連動しながら安全性を高めるものとなるよう急ぎ刷新に着手してほしい。

まずは再稼働審査の効率化だ。そのためには事業者と対等になるべきである。江戸時代のお白州めいた審査では、円滑で明確なコミュニケーションは望めない。

北海道電力の泊原発3基の安全審査は、新規制基準が施行された平成25年7月から続いている。当初、審査期間は「半年程度」とされていた。それをはるかに超えている。能力向上には経験豊富な米原子力規制委員会(NRC)から合理的な手法を謙虚に学ぶべきだ。唯我独尊では進歩がない。

新体制で姿勢の刷新を

規制委のなすべき仕事は山積している。審査で停止していた期間を原発の運転年数から除外し、根拠なく定められた40年の運転制限も見直すべきだ。

原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の地層処分にも規制基準が必要だ。次世代革新炉の開発も規制基準がなければ前に進めない。核燃料サイクルの要である再処理工場の審査も急いでもらいたい。規制庁には約千人もの職員がいるではないか。

国内の原子力発電の長期停滞で、原発の建造や運転技術の維持が危ぶまれる状態だ。早急に現状を脱却しないと世界に誇った日本の原発技術は失われてしまう。

原子力は島国の資源小国・日本にとって不可欠のエネルギー源である。規制委の任務は国の政策に整合する形で原子力発電の安全性を高めることであるはずだ。

それを忘れると国富は毎年数兆円規模で流出し、国力は衰え、国民と企業は停電の危機と電気代の高騰に苦しむことになる。

規制委の「活動原則」には「多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」の文言がある。

新体制での出発に際しては、原発再稼働が10基にとどまった10年間の反省が何より必要だ。

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