海運バブル終焉か 運賃下落、渋滞緩和で 専門家「予断許さず」

産経ニュース
荷降ろしを待つコンテナ船で混雑した米ロサンゼルス港 =2021年11月(ロイター)
荷降ろしを待つコンテナ船で混雑した米ロサンゼルス港 =2021年11月(ロイター)

新型コロナウイルス禍に端を発した物流の混乱で続いていた海上輸送の逼迫(ひっぱく)の潮目が変わってきた。欧州や北米など主要航路のコンテナ船運賃が下落傾向を示し、荷揚げを待つ船でごった返していた米西海岸の港は渋滞が収まってきている。背景にはウクライナ情勢による欧州での景気減速、インフレによる米国での消費の冷え込みなどがあり、供給力に余裕が生じて需給バランスが改善したとされる。ただ、専門家は「まだ予断は許さない」と話している。

海運逼迫の〝象徴〟として、注目を浴びてきた米西岸の主要港、ロサンゼルス・ロングビーチ。野村総合研究所によると、今年1月に沖合で入港待ちをしているコンテナ船は100隻を超えていたが、直近では大幅に改善されて10隻を下回るまでになった。

当初、混雑は新型コロナ感染による港湾や内陸での労働者不足などで荷さばき能力が低下して発生した。また、実際に近くまで航行してくることが入港待ちリストへの登録条件となっていたことも、船舶の殺到を招いていた。このため、港湾側は昨年11月からシステムを変更し、出港時のリスト登録をできるようにしたことで、ある程度の交通整理が可能となった。

加えて欧州ではウクライナ情勢で、米国ではインフレに伴う金利上昇で、それぞれ消費マインドが抑制され、特に米国は小売り大手が家具などの輸入を抑制する動きも出ているという。

これらの理由から野村総研の宮前直幸氏は「物流にとっては余力ができた」と指摘する。

海上輸送費も下落傾向に転じている。上海航運交易所(SSE)が中国発のコンテナを対象にまとめた運賃指数は、1998年元日の値を1千ポイントとして、12週連続の下落となる2847ポイント(2日時点)。ピーク時は5千ポイントを超えた中で、3千ポイントを下回るのは昨年4月以来だ。実際の運賃は米西岸行きで20フィートコンテナ1個当たり3959ドルとなり、値下げ幅はこの半年で4千ドル以上、特に直近の1カ月は約2500ドルに上った。

ただ、宮前氏はサプライチェーン(供給網)の混乱解消の流れを評価しつつ、「楽観的に見ることはできない」とする。終わりが見えないウクライナ危機に加え、米西海岸港湾の労使交渉の状況が不透明なことなどを理由に挙げた。

一方、海運に詳しい拓殖大の松田琢磨教授は「『割高でもいいから船を確保しないと運べない』という過熱した心理状況から脱し、〝バブル〟がはじけたと言える」との見方を示す。

今後は運賃下落の物価への反映も期待されるが、松田氏は「物価に占める輸送コストのシェアは小さく、(運賃が)下がったとしても大きなインパクトにはならない」としている。

(福田涼太郎)

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