米欧が露の情報戦に対抗 食料危機巡り新方針

産経ニュース

【ニューヨーク=坂本一之】バイデン米政権は20日、欧州連合(EU)やアフリカ連合(AU)などと「グローバル食料安全保障サミット」を国連総会に合わせてニューヨークで開き、ロシアのウクライナ侵略で深刻化する食料危機の解決に向けた取り組みを協議した。米欧側は食料危機を招いたロシアが「偽情報」を発信していると非難し、同国の情報戦に対抗。各国に危機への対応を呼び掛けた。

「グローバル食料安全保障サミット」で発言するブリンケン米国務長官=20日、ニューヨーク(AP=共同)
「グローバル食料安全保障サミット」で発言するブリンケン米国務長官=20日、ニューヨーク(AP=共同)

米国から参加したブリンケン国務長官は会合で、食料危機に対して「各国の食料生産の能力開発を支援しなければいけない」と呼びかけ、米国として新たな対策を講じる方針を示した。

世界は気候変動や新型コロナウイルス禍に加え、ロシアの侵略で食料の安定確保が困難になっている。ブリンケン氏は「プーチン露大統領の残忍な侵略戦争で新たに7000万人が深刻な食料不足に陥るかもしれない」と警鐘を鳴らした。

ウクライナは世界有数の穀物輸出国だが、輸出はロシアが黒海を封鎖したことで停滞し、穀物価格が高騰した。両国は7月、国連とトルコの仲介により、黒海経由の輸出再開に合意。8月1日に輸出が実際に再開し、国連によると穀物などの輸出量は9月18日時点で360万トンに達している。

しかし、ロシアは輸出再開合意後も米国などの対露制裁が食料危機問題を複雑化しているとして制裁解除を要求。今月7日にはプーチン氏が、再開された穀物輸出の大半は欧州に送られ、途上国にほとんど届いていないと主張。合意見直しの可能性を示唆した。

EUのミシェル大統領はサミットで「ロシアの偽情報に反して食料はアフリカや中東などに届けられている」と反論。ブリンケン氏もロシアの「虚報」と批判し、南半球を中心とした途上国の「グローバルサウス」に届いていると訴えた。

AU議長国のセネガルのサル大統領は20日の国連総会の演説で米欧とロシアの板挟みとなることに懸念を示したが、サミットでは食料や肥料などの価格高騰が「ウクライナでの戦争の影響で悪化している」と露側の責任を指摘した。

米国務省が同日発表したサミットに関する宣言文書では「より強靱(きょうじん)な農業と食料システムの構築」を目指すことを明記した。具体策として肥料の増産支援や人道的支援に向けた資金提供などを盛り込んだ。

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