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「ふたつにひとつ」ではなく 「デザインの骨格」山中俊治(日経BP社)

産経ニュース

ヒョウ柄やシマウマ柄など自然が描く鮮やかな模様。生物の生み出すパターンを数学的に解明しようと試みたのがコンピューター科学の父、チューリングだ。影響力を持つ二つの化学反応が同時に広がる結果だとされるが、そんな「美しいパターンが生まれるような製造プロセス自体を考案したい」と著者は書いている。

著者はプロダクトデザイナー、エンジニアで大学教授。日産自動車を経て独立し、腕時計から鉄道車両、義足やロボットまで数々のデザインを手がけてきた。この本はブログのコラムをまとめ2011年に出版された。アップルのデザインの解剖に始まり、コンセプトをいかに形にするかなど自身の発想法が綴られている。

デザインは「先端技術と人の関わりを設計する技術」と書く著者のこんな一文に引き付けられた。「アイデアは二律背反を疑うところから始まる」。「ふたつにひとつ」の妥協点を探すのではつまらないという。これは芸術と技術がその方法論から異なるためなかなか相いれないことにもつながるだろう。目指すのはどちらも満たして「壁を破る」第3の道。

「技術のもたらす新しい価値は、性能のいかんにかかわらず、はじめからその技術自体に遺伝子のように組み込まれている」。どんな技術革新も底流に変わらないものがある、と。これも人とモノの関係を見つめてきた言葉だ。

漫画家を目指したという著者は描くことへのこだわりがある。「絵を描く事は、ものの輪郭を描く事ではない」。要は仮想の線なのだ。

この本はそんな骨のある話ばかりだ。「互いに異なるものから、最も美しいものが生じる」と語った哲人の言葉を思い出した。そこで、はるかな未来のデザインを想像してみたが何も浮かばない。山中さんにぜひ聞いてみたい。

兵庫県尼崎市 加藤百合子(49)

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