シカの林業被害、捕獲しても別地域で増加 それでも「効果なし」は誤解 森林総研など調査

野生のニホンジカの捕獲は林業被害を減らす効果があるかどうか。こんな疑問に答える研究結果を、国立研究開発法人の森林総合研究所と熊本県林業研究・研修センターの研究グループが公表した。熊本県全域を対象にした調査によると、シカの捕獲にも関わらず、県全域では林業被害の増減は確認されず。ただ、捕獲数が多かった県内の一部地域では林業被害が確実に減少したという。このため研究チームは害獣捕獲に被害軽減効果はないとの見方は適切ではないとし、より精緻な捕獲計画を立案することが重要だと指摘している。

一斉捕獲の期間中に豊築猟友会の会員が捕獲したシカ=2019年、福岡県
一斉捕獲の期間中に豊築猟友会の会員が捕獲したシカ=2019年、福岡県

林野庁の調べでは、2020年度の野生鳥獣による森林被害面積は5700ヘクタール。このうちシカによる枝葉の食害や剥皮被害が73%を占めた。シカによる農林業の被害額は年間100億円以上と深刻で、捕獲数は年間約60万頭に上る。

ただ、シカによる森林被害面積はここ数年横ばい状態で、捕獲が十分な効果を挙げているのかどうかには不透明な部分も多い。そこで森林総合研究所と研究グループは熊本県のほぼ全域を対象にしたシカ被害に関する研究を実施。広い範囲でシカの捕獲数、被害の増減、生息密度の増減をまとめた研究はこれまで国内外で見られなかったという。

この研究では、2009年から2017年にかけて、25平方キロメートル(5キロメートル×5キロメートル)を1地域とした県内184地域の捕獲数などを比較。その結果、捕獲数が多かった地域ほど被害が減少していたことが分かった。特に南東部では捕獲数が1000頭以上の地域が多く、被害も生息密度も減少していた。

一方、北部や南西部では1地域あたりの捕獲数が1~499頭と比較的少なく、被害と生息密度が増加。捕獲数が多かった南東部を除くほとんどのエリアで生息密度が増加していた形となった。総合的には県全体としての明らかな被害軽減効果は認められなかったという。

こうした結果を受けて研究グループは「捕獲の効果がおよぶ地理的範囲には限界があり、一部の地域でたくさん捕獲しても、県全体としては効果が見えない」と結論づけた。ただ、捕獲数が多いエリアでは被害が減少していたことから、シカ捕獲が被害減少に効果がないとの結論は誤りだと注意を促す。

研究グループは県ごとに必要な捕獲数を決めてシカの捕獲を行うと効果が一部の地域に偏ってしまうため、捕獲計画策定時に適切なエリア分けを行い、エリアごとに捕獲数を決める必要があると提言している。

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