岸田文雄首相が先月24日、「原発の新増設や建て替えの検討を進めるよう指示した」と発表したとき、「おっ、やるな!」と思った。月曜日(5日)に掲載された読売新聞の世論調査では、これについて「評価する」が49%、「しない」の44%を上回ったので驚いた。
ちなみに、 前週掲載(8月29日)された朝日新聞の調査では、「賛成」34%、「反対」58%と、逆の結果だった。
数字が分かれているのは、朝日がまったく別の質問の後でいきなり新増設について聞いているのに対し、読売はまず、「基準を満たした原発の運転再開」について聞き(=回答は『賛成』52%、『反対』39%)、その後、この質問をしているからではないか。
「世論調査はあまり説明しない方がいい」という論がある。一方で、原発のように専門的な分野については、きちんと説明しないと感情的な答えになってしまうと思う。
いずれにせよ、2011年の福島原発事故以来、一貫して原発に慎重だった世論は明らかに変化している。
元原発担当相の細野豪志衆院議員(自民党)もツイッターで「この種の問題で、政府の判断に先んじて国民世論がここまで動くのを私は見たことがない」と驚いていた。
ロシアによるウクライナ侵攻で、世界のエネルギーの常識の根幹が崩れた。安価で石油や石炭よりクリーンな天然ガスが、ロシアから来なくなってしまったのだ。